編集長のたわごと

 私が20代のころ、北九州市に3年ほどいたことがある。

 青森県出身ですというと、何で、青森県からこんなところまで来たの?、何か悪いことでもして逃げて来たの?

 悪いことをしたわけではないが、当時北九州というと労働者のまち、鉄鋼のまちとして知られていた。自分という人間の弱さを知り、その労働者の中で自分を鍛えなおそう。そう思って、東京の劇団を逃げるようにして、北九州に行ったのであった。

 多分に、当時読まれていたソ連の革命時代の小説『鋼鉄はいたにして鍛えられたか』の影響があったのも確かである。

 北九州の人にとって青森県は、函館や札幌より北にあるイメージであった。

 何故なら、北九州でテレビやラジオから流れる青森県のニュースはというと、雪下ろしで、屋根から滑って亡くなったとか、雪の下になって3日後に見つかったというニュースが流れるのである。

 そんなところに住んでいるの?大変なところだねと同情される。

 今年の大雪で、雪下ろしなどですでに14人のひとが亡くなった。北九州の人たちは今、どんな目で青森県を見ているだろうか。

 青森県の寒さを逆手にとった、地ふぶきツアーは人気を呼んでいるが、屋根を改修などをして、この雪下ろしの事故だけなくしたいものである。

 「へそまがり編集長のおもしろ本紹介」は、ペーパーの人間情報紙「夢追人」で連載していて、結構評判であった。

 が、ペーパーの場合は紙面のスペースが限られており、載せたいニュースが多くなると、どうしても削らざるを得なかった。ということでしばらく中断していたが、ネット新聞で復活することとする。

 さて、最初の紹介は、

『快楽(けらく)Ⅱ~熟年性愛の対価~』 工藤美代子著

 悦びには思わぬリスクがつきまとう。それでも欲しい女たち

keraku.jpg 熟年、あるいは高齢になってからのセックスの問題。これは、私が今書いている「実践的アンチエイジング講座」の、最後の章で書こうと思っているテーマある。

 なぜなら、若さを計る一つの指標が、人間、特に男であればセックスができ、子孫、つまり子供をつくる能力があるかどうかであると、私は思っているからである。

 動物、植物、微生物を含め、地球上のすべての生き物は、誕生し、成長し、子孫を残し、やがて死んでゆく。

 植物であれば、芽を出し、成長し、花を咲かせ、実を成らせ、次世代をつくると死んでゆく。植物は、1年草もあれば、多年草もあり、また樹木のように何百年と生きるものもあるが、いずれにしても次の世代を残して死んでゆく。

 子孫を残す能力のなくなった生物は滅ぶしかない。

 人間であれば、誕生し、成長し、結婚し、子供を産んで、老いて、やがては死んでゆく。

 女性の場合は、凡そ50歳代で閉経し、子供をつくる能力が失われる。

 男性の場合はどうであろうか。

 私は、70歳になろうが、80歳になろうが、勃起して女性を抱き、射精が出来るうちは、生物として若いと思っている。セックスは人間にとってものすごく大事なアンチエイジングである。

 さて、私のアンチエイジング論は別として、工藤美代子さんの『快楽Ⅱ』であるが、これは、女性雑誌『婦人公論』に連載したものをまとめたものである。

 ここに出てくる代表的なカップルは、女性78歳、男性82歳のカップルである。この二人、男性には妻がおり、女性は夫に先立たれ一人身である。

 あるとき、その娘が工藤さんに相談にきた。娘といってももう62歳である。

 その娘がいう。

 「聞いてください、工藤さん。あたしの母は七十八歳にもなるのに男狂いしているんです。娘の旦那が明日も知れぬ病で苦しんでいるというのに、あの女(母親のこと)は夜な夜なに男を家に引き入れているんですよ。最低です」

 母親は、15年ほどまえに夫と死別し、今は82歳の男性と深い仲になっている。困ったことに、その男性を家に引き入れて、娘の隣りの部屋でセックスをし、「イク、イク」とか、女性特有のオーガズムのときの声を出している。

 娘には、それがいやらしくてたまらないのである。

 母親が、娘にお金をくれという。

 男は無一文である。何に使うのというと、バイブレータを買いたいという。

 82歳の男性、さすがに勃たないようで、指でいかせていたらしい。が、女性はそれではもう満足しなくなっていた。

 そうこうしているうちに、母親は、この家は私の家だから売ってマンションに引っ越すという。それは、男性と二人で過ごしたいからである。

 最後には、家を売って、その金を娘と分けて、自分がマンションを買うのであるが...。

 まず、これを読んで感じることは、昔から女性は灰になるまで女性であるといわれてきたが、なるほどと思った。

 それと、男性には妻がいるが、その妻と別れて、この女性と一緒になるかと思いきゃ、男性は82歳である。生きても多分10年前後であろう。そうすると、自分の葬式や亡くなったあとのことを考え離婚せず、通い夫となる。

 女性の大胆さと男のずるさが見えてくる。

 これは、特殊かというとそうでもない。

 読売新聞の「人生案内」欄に、そんな相談がたくさん寄せられている。

 いくつか紹介しよう。

 70代女性/夫がなくなって30年ぶりの恋、娘一家と同居の身、彼にも家庭があるが...。

 60代女性/10歳年下の既婚の恋人ができた。子供たちも「お母さんが幸せなら」と応援してくれている。

 60代後半の女性/不倫で初めて女の喜びを知った。

 70代後半の女性/好きなひとができ付き合っているが、彼がほかの女性と親しげに話していると激しい嫉妬に襲われる。

 などである。

 新聞の人生相談にも、このような相談がたくさん寄せられることは、熟年、あるいは高齢者の恋、セックスはもう特殊なことではなくなっているからであろう。まさに、超高齢化社会を象徴する問題である。

 工藤美代子さんは、そんな女性100人以上を取材し書いている。

 まだ、こんな世界を知らず、そんなことはいやらしいと思っている女性諸氏。この本を読むと人生観が変わるのではないかと思う。

 大切なことは、死ぬまで元気でいること。そのために恋やセックスは、精神的にも、肉体的にも、非常に重要ななアンチエイジングの一つであるということである。

 2011年9月刊、中央公論社刊、定価1500円(税別)

 むかしは、私たちの年代になると、「今の若者たちは、何を考えているのかわからない」、「今の若者たちは云々...」といったものである。

 それは、いつの時代でも大人になると、若者に対してそういったものである。時には若者に対して「新人類」などと呼んだこともあった。

 が、私は、今の若者たち凄い!!と思う。

 その一つは、私の母校でもある三本木農業高校の卒業式に出席したときのことである。

 卒業式の次第が、卒業証書授与、校長式辞、記念品贈呈と進み、最後は在校生代表送辞、そして卒業生代表答辞で終わる。

 在校生代表送辞も素晴らしい内容であった。そして、卒業生代表答辞である。

 答辞は、自分が三農に入って、農業に出会えたこと、三農が日本一(農業クラブ全国大会)になったことなど、自分もそういう高校で3年間過ごしたことを誇りに思いますなど、3年間の高校生活と、三農生あったことの誇りなどを話した。

 ところが、答辞が終わって、誰ともなく会場から拍手が起こったのである。

 答辞は、名文であればあるほど、うるうると涙を流すのがせいぜいだと思っていた私に、拍手が起こったのには驚いた。

 先生に聞いてみると、これは初めてであるという。

 文章がうまかったから拍手が起きたのではない。話し方がうまかったから拍手が起きたのではない。未来を見据えた人生観がはっきりしていたから、それに対する共感の拍手であった。

 その夜、会場を別にして、卒業祝賀会が行われた。

 そこで、3年生を担任した先生方の挨拶があった。それもまた良かった。なるほど、先生方の指導、あるいは生き様が良かったから生徒たちも成長したんだと確認した。

 師を信頼し学ぶ。先生もまた、知識を教える労働者ではなく、生き様を教える、まさに師であったと感じた。

 私の高校時代と比較してみると、今の高校生は飛んでもなく素晴らしい。今の若者たちは凄い!! そう感じさせた卒業式であった。

GNH

[編集長のたわごと]

 娘に、「お父さん外国で行きたいところがないの」といわれた。「行きたいとすれば、ブータンかキューバかな」といった。
 私はこれまで、コラムでブータンについて何回か書いてきた。もちろんGNH(国民総幸福)の国だからである。
 麗澤大学教授でブータンについての著書の多い大橋照枝さんは、「GNP(国民総生産)は、幸福にとってマイナスの戦争や交通事故、自殺、離婚が生じても金銭のやりとりがあると、経済効果としてGNPに加算される。だから、人々は幸せにはなれない」と語る。
 経済成長著しく、日本を抜き、GNP世界第2位となった中国を見ているとなるほどと思う。
 GNH、人類が生き残るための究極の指標となろう。 

bu-tankokuou.jpg日本を訪れ被災地を見舞うブータンの国王夫妻(NHKテレビより)


古里

[編集長のたわごと]

kiritakagura3.jpg このほど、文化センターで、青森県無形文化財第1号に指定された、南部切田神楽の記録映像公開と講演会があった。
 講演は、民俗学者で、平成18年(二〇〇六)より切田神楽の調査に入っている、敬和学園大学教授の神田より子さんであった。
 神田さんの話と、30数年ぶりに復活した、切田の支村集落の本家筋を回り、家内安全、無病息災、豊作祈願を行う「霞廻り」の復活の映像であった。
 そこには、100年前もこうして行われていたであろうと思われる村人のつながり、絆があった。
 あ、これこそ日本の古里だ。それを守り続けている切田集落の人たちはすごいと思った。

kiritakagura1.jpg 写真は、切田神楽の権現舞

[編集長のたわごと]

ootanimaki.jpg ITで成功した後、八戸に帰り、10年間で100社の起業家を育てたいと、「起業家養成講座」を開講している、八戸大学八戸短期大学総合研究所所長の大谷真樹さんは、青森県を日本一「しあわせ」で「豊かな土地」にしたいと、熱意を込めて語る。
 青森県は本当に田舎?、青森県に本当に何もないの?
 ちょっと気持ちを広く持って、高いところから世界を見渡すと、なんだ青森県って、以外に素晴らしいところじゃんとわかる。
 たとえば、人口6000万人しかないフランスに、観光客が8000万人訪れるという。
 フランスは歴史も文化もあるから?確かにそれもある。
 ところがフランスは、ヨーロッパきっての農業国である。フランスは食を文化だと考える。だから美味しいワインが生まれる。
 一方、アメリカは食を資源と考える。つまり、金儲けの一つの道具に過ぎない。あるいは、安全保障の国際戦略の一つとして考えている。
 振り返って青森県を見よう。食を文化と考えた場合、新鮮な野菜がたくさん採れる。新鮮な魚貝類が獲れる。自然が美しい。東京から新幹線で3時間で来られる。
 ちょっと視点を変えてみると、素晴らしいものだらけである。
 その素晴らしいものをどう生かすか夢をみてみよう。
 *夢追人ニュース「理想の十和田ライフづくり」も併せてお読みください。

 写真は大谷真樹さん

[編集長のたわごと]

 3・11東日本大震災では、多くの消防団員が住民の命を助けるために犠牲となった。
 近年十和田市では、幸いに大きな災害がないが、何か事起こったときに真っ先に駆けつけるのが、十和田市730名の消防団員である。
 しかし、農村の疲弊と共に、若い人が入らず、消防団員が激減しているという。
 3・11は、地域の絆をつなぐ一つが、消防団であることを私たちに教えてくれた。

 

shouboudan.jpg出初め式で分列行進する十和田市消防団の勇姿

 人生の終焉は思わずしてやってくる場合がある。
 十和田市の地域紙「県南新聞」の社長今泉友孝さんの訃報が、年も押し迫った12月29日の夜11時ころ、携帯電話が鳴り、電話の向こうから、社長が亡くなりましたと、突然に知らされた。
 えっ、何で、嘘だろう!!
 つい数日前に、取材で一緒になったときは、全くそんな兆候がなかったからである。
 しかし真夜中に、こんな大事な事を、嘘の電話をかける者もいないであろう。信じざるを得なかった。
 かつて十和田市は、政争が激しいまちであった。
 それに伴い、豆新聞といわれた地域紙が多く、特に選挙になると、華々しく活躍していた。
 過去発行されていた地域新聞を見ると、『みちのく新報』、『日刊東北』、『十和田毎日』、『地方経済新聞』、『皆さんの新聞』、『北奥民報』、『北日本新聞』、『北斗ニュース』、『十和田タイムス』、『北都新報』、『十和田ニュース』、『十和田スポーツ』の12紙。そして現在は、『県南新聞』、『十和田新報』及び『夢追人』の3紙である。同時に、最大8紙発行されていたときもあった。
 人口わずか6万の都市としては多い。全国的にも珍しいということで日本テレビの「ズームイン!!朝」でも紹介されたことがあった。
 私は新聞は文化だと思っている。
 今泉さんは『県南新聞』を昭和43年(一九六八)に発刊。実に44年間、1回も休まず発行してきた。
 豆新聞といわれるのが嫌であったろう。早くも一般新聞と同じB2版で出していた。
 取材を通して十和田市を中心とした地域の政界の裏を知り尽くしていた。それに基づいた記事も面白かった。もう今泉さんのような記事を書ける人はいない。一つの時代が終わった。
 ご冥福をお祈りします。合掌

 

 私は日本のことわざが好きだ。そこには、長い歴史の中で培われてきた人生の教訓、あるいは生活の知恵などが織り込まれている。
 私の好きなことわざに、「実るほどに頭を垂れる稲穂かな」がある。私が新聞を始めたころ、文化専門の新聞は珍しいということで、新聞やテレビなどマスコミでとりあげられた。そのとき妻は、私の性格を良く知っているから「威張るなよ」と、口が酸っぱくなるほどいってくれた。ありがたいと思っている。
 初めて大臣になったひとで、尊大になり、つい口が滑って大臣の職を辞する人も多い。むかしは、頭がいい子供がいると「末は博士か大臣か」といったものである。それにしても大臣の価値が落ちてしまったものである。
 「災害は忘れた頃にやって来る」。
 三陸沿岸の津波は、明治29年(一八九六)の三陸大津波。このとき死者行方不明者併せ2万1959人であった。昭和8年(一九三三)の昭和三陸大津波は死者行方不明者併せ3064人であった。そして今回の東日本大震災は死者行方不明者併せ2万629人(7月末)であった。115年の間に3回大津波が襲い、その度に多大な被害を出している。今回は、過去の大津波を教訓として「てんでこ」に逃げた人たちは助かった。
 この津波の教訓を馬鹿にし、無視してきた人たちがいた。「馬の耳に念仏」、「馬耳東風」の、言わずと知れた東京電力である。大津波の可能性については、社内でも検討されていたし、学者の指摘や国会での追及もあった。が、上層部の「安全」の一言で一切無視されてきた。結果、二次災害の原発の事故として現れ、現在も8万3000人以上が避難している。
 経済成長著しい中国。金が優先し、人心が乱れ、儲かれば何をやってもいい風潮が現れ、違法な漁をし、ついには殺人事件にまで発展した。
 低成長時代の私たちは「足りを知る」心も必要である。
 このコラムでも何回か書いてきた、GNH(国民総幸福)を国是とするブータン。その国王が、国賓として、新婚旅行を兼ねて日本を訪問した。国王の言動や姿勢に、共感した人も多いであろう。
 ブータンの人口は約70万人。中国とインドに挟まれた九州ほどの小さな国である。国民一人当たりの総所得は約2000㌦(約15万4000円)。GDP(国内総生産)は、世界183ヵ国中162位。これだけを見ると世界の最貧国の一つといえる。
 そのブータンが、東日本の大震災に100万㌦(約8100万円)の義援金を送ってくれた。
 GNHを掲げるブータン。「あなたは幸せですか」との質問に、「幸せです」と答えた人がナント90㌫を超えているという。
 それ本当かと、静岡総合研究機構主任研究員鈴木法之さんが、実際にブータンに行って、住民のアンケート調査を行った。
 「あなたは生活全般に満足していますか」(満足度)と聞いたところ、「満足している」「まあ満足している」と答えた人の割合が86・4㌫と、ブータンの調査とそう変わらなかったという。
 次に、「暮らしよい方向に向かっていると思うか」(希望度)を聞いたところ、「全くそうである」「どちらかといえばそうである」と答えた人の割合は72・8㌫で、これも高い数字であった。
 ブータンのGNHは本物であった。
 GDP世界第3位の日本はどうであろうか。自殺者年間3万人以上。引きこもり凡そ160万人以上。稀に外出する程度を含めると300万人以上いるとされる。これ、幸せといえるだろうか。
 それにしても、カジノで100億円を使った、大王製紙のあのバカ息子、それこそブータン国王の爪の垢でも煎じて飲ませたいと思ったのは私だけであろうか。
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