十和田市立新渡戸記念館

新渡戸記念館ボランティア団体Kyosokyodo(共創郷土)

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 新渡戸記念館のボランティア団体である「Kyosokyodo(共創郷土)」(新渡戸富恵代表)がこのほど、『三本木平開業の記』にある伝統技法で茜染めを再現させた。
 三本木開拓の祖新渡戸伝が三本木平に上水しただけでなく、産業振興をも計画していた。それが『三本木平開業の記』である。これには「物産開業之仕法」として、駄馬市之事や瀬戸物焼出之事、養蚕之事など産業振興策が10項目にわたって書かれている。その一つに薬園の事として、「紫根や茜は自然に野原に生えてこれは日本一の品質である」と書いている。
 ムラサキやアカネは古いむかしからの日本の染料である。Kyosokyodoでは紫根、すなわちムラサキの染物はすでに十和田むらさき保存研究会がやっている。それではもう一つの茜染めをやろうということになった。こうして新渡戸記念館の小学生を対象とした「寺小屋稲生塾」のプログラムの一つとして、まず自生しているアカネを採取。その根を乾燥させて茜染めのハンカチを製作した。
 これには、十和田市出身で東北芸術工科大学4年の小笠原みなみさんが染色をサポート。その製品化には、同大の添野美生さんが包装用のキャラクターをデザイン。北里大学獣医学部4年の根本遥奈さん、同大2年の安田暁彦さんが包装を手伝うなど、若い感性で完成させた。
 茜染めのハンカチは、綿100㌫で上品な淡いピンク色。模様は染めるとき箸や輪ゴムなどを使った絞り染めで、1枚とて同じものがない。
 茜染めのハンカチは、「お三木あかね」として新渡戸記念館他、アート・ステーション・トワダ、道の駅とわだで販売している。1枚400円(税込)。
 問い併せは、℡0176‐23‐4430(新渡戸記念館)迄。
 写真は、茜染めのハンカチを披露する茜染めを指導した小笠原みなみさん(中央)と野本遥奈さん(左)安田暁彦さんと茜とその根

ICID-世界95ヵ国が加盟する国際かんがい排水委員会

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 このほどICID(国際かんがい排水委員会)の「かんがい施設遺産」に稲生川が登録された。ICID(本部インド)は1950年(昭和25年)設立されNGO(非政府の国際団体)で、世界95ヵ国(及び台湾)が加盟している。
 現在、世界的な水資源のひっ迫、予想される食料問題、環境問題に対処するためにその重要さが増していることもあり、今回初めての選定となった。
 このかんがい排水遺産は、建設から100年以上が経過し、当時としては設計や施工が先進的である、食料増産や農村発展に貢献している、環境に配慮した設計や施行をしているなど、かんがい農業の発展に貢献した歴史的、技術的、社会的価値あるかんがい施設を登録・表彰するもの。
 稲生川は10万石を夢見、新渡戸伝により安政2年(一八五五)に工事を着手し、二つの穴堰を掘削し、安政6年(一八五九)5月4日に奥入瀬川からの上水に成功した。そのことにより東西約40㌔、南北約32㌔の、それまでは畑作を中心に細々としか行われていなかった三本木台地が瑞穂の大地と変わっただけでなく、そこに札幌に先駆けて碁盤の目状の都市が計画された。それが現在の十和田市である。
 稲生川は平成18年(二〇〇六)に農水省の「疎水百選」に認定され、一般投票で同百選の全国第1位に選ばれた。稲生川はまた、稲生川を含む三本木開拓施設群が、平成25年度土木学会選奨土木遺産にも認定されている。稲生川は、日本の稲生川から世界が認める稲生川になったのである。
 現在、八郷地域から稲生橋までの稲生川の両岸が整備中であり、歴史を学び疎水の流れに触れながらの、片道3・5㌔、往復7㌔は軽い散策コースとなっている。

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nitobejuku.jpg 「ふるさとを愛する心・武士道の心・開拓の心」を育む寺小屋稲生塾(新渡戸常憲塾長・定員40名)の全6講座が終わり、11月30日、その閉校式が行なわれた。
 稲生塾のその1は、『こども武士道』(講談社刊)の著者高橋和の助さんを講師に迎えて、「武士道白熱教室~新渡戸稲造の武士道精神を学ぼう!~」。そして、『こども武士道』の先生と「武士道の教え」について話し合おう。
 その2は、「150年前の大行灯をつくろう!」。 その3は、「太素の森のお話し会~月日山のはなし・新渡戸稲造のひみつ~」。歴史民話かみしばいと昔のおやつ・遊び体験。
 その4、「とわだ時空調査隊~まちの魅力を発信しよう!~」。調査したことを壁新聞とビデオにまとめてまちなかに展示。
 その5は、駐日アフガニスタン大使館前副大使・現特別顧問バシール・モハバット氏を迎えての、「世界とともだち~料理・音楽などの文化体験~」。
 そして最後のその6は、「書の心は武士道の心~書道&茶道体験~」。そして閉校式であった。
 寺小屋稲生塾はこのように、遊びから体験、学び、そしてそのまとめなど、幅広く人間性を培う講座であった。
 この寺小屋に参加した子どもたちは、学んだことも大きかったであろう。そのほとんどがまた来年も参加したいですと、充実した顔をして修了して行った。

 新渡戸記念館館長 新渡戸常憲さん
 notobetunori1.jpg十和田市立新渡戸記念館館長新渡戸常憲さんがこのほど、『藝術とノエシス評論 ・エッセイ選集』を出版した。
 新渡戸さんはもともと日本では数少ない音楽学博士で、音楽評論家である。
 三本木開拓をした新渡戸家8代目という立場から、新渡戸家を継ぎ、館長の傍ら今も音楽評論としての二足のわらじを履き活動している。
 『藝術とノエシス評論 ・エッセイ選集』は、新渡戸さんがこれまで『音楽の友』や『音楽現代』などに書いた音楽評論や、地元の新聞「東奥日報」や「デーリー東北」に書いたエッセイなどをまとめたものである。
 第一章「音楽芸術 評論」は、ショパンやリスト、あるいは新渡戸さんが注目する若手ピアニストたちへの評論で、非常に高い次元での専門的な追求が行なわれ、クラシック音楽を知ったひとでないとわからないであろう。
tunenorinohon.jpg 第二章「自然界の音楽を聴く 私の精神風土」は、「自己紹介」に始まり、「トンボを追って」、「建築と創造など。また、「新渡戸家の祖先」や、「昆虫学者・新渡戸稲雄」、「身近にある自然」などのエッセイで、新渡戸さんの人柄がにじみ出ている。また、新渡戸家のことも、あ、そうであったかとエピソードを通してわかるように書かれている。
 そして第三章は、「これからの日本」で、新渡戸さんが館長になって取り組んだ「未来遺産」運動や、「寺小屋稲生塾」のことなどが書かれている。
 新渡戸さんのことは、これまでも度々紹介してきているので、経歴などははぶくが、昨年4月より新渡戸記念館の館長に就任して以来、十和田市のまちづくりの新しい担い手になっていることを伺わせる。

nitobekinenkan.jpg ここ数年の新渡戸記念館(新渡戸常憲館長)の活動が目覚しい。
 平成25年度でいうと、市民一般向けでは「新渡戸塾」で新渡戸稲造の『農業本論』についての講演会や、郷土遺産ツアー、穴堰ツアーなどを予定している。子ども向けでは「新渡戸塾・こども講座」がある。その他、開拓に沿った様々な企画展などが行なわれている。
 そしてこのほど、新渡戸記念館の活動を支援するボランティア団体「Kyosokyodo(共創郷土・新渡戸富江代表)が、「稲生川ウオーキングマップ」を作成した。これは、三本木開拓ゆかりの史跡を5コースにわけて紹介したもの。
 第1コースは「開拓ゆかりコース」。法量の稲生川取水口からスタートし、中里隋道の出口、熊ノ沢水路橋、熊ノ沢サイホン、山神の碑を通り、稲生川を下り、新渡戸記念館までの19・4㌔、約4時間の、いわば稲生川下りのコース。
 第2コースは「先人の技術みどころコース」。道の駅奥入瀬ろまんパークから出発し、十和田湖公民館から旧国道102号線に入り法量橋を渡り、中里川の下をくぐるサイフォンのある法量農村公園を通り、天狗山のトンネルの出口を通り、奥入瀬ろまんパークに戻る7・7㌔、約1時間30分のコース。
 第3コースは「稲生川せせらぎ満喫コース」。ポニー温泉のところから入った稲生川ふれあい公園回遊の6・4㌔、約1時間20分のコース。これは現在でも健康づくりで、早朝歩いているひとも多い。
 第4コースは「まちなか歴史コース」。新渡戸記念館を出発し、澄月寺から官庁街に入り、県の合同庁舎前から、新渡戸記念館に戻る4・3㌔、約1時間のまち中回遊コース。
 第5コースは「ビオトープコース」。これは10年ほど前に整備された一本木沢ビオトープの散策の1・4㌔、約20分のコースである。
 この稲生川ウオーキングマップは、点から面に広がる、十和田の新しい魅力の掘り起こしである。
 ぜひ、このマップを手に歩くことをお勧めする。
 また現在、新渡戸記念館では、「未来遺産十和田・ふるさと見本市~文化の礎〃農〃の恵み~ん」展(6月30日迄)を行なっている。
 問い合わせは、℡0176‐23‐4430迄。

新渡戸塾・稲生塾特別講座
 

yubiga1.jpg yubiga3.jpg新渡戸記念館(新渡戸常憲館長)の新渡戸塾・稲生塾の最終講座は、濱田珠鳳さんの「指画」の実演及び体験であった。
 「指画」は、中国の唐の始まる、絵筆は一切使わず、手の甲、手のひら、つめなどで描く技法である。
 濱田さんは昭和18年(一九四三)韓国の大邱府で生まれた。
 昭和62年(一九八七)中国の水墨画に魅せられ訪中し勉強。その中で唐の時代から伝わる「指画」に出会い、「指画」家に師事。今では、外国人としてはただ一人の中国指画研究会に登録されている「指画」家である。
 濱田さんの「指画」の実演及び体験は、市民文化センターと、ケアハウス・ボナール十和田の2ヵ所で行なわれた。
 市民文化センターでは、子どもなど50名が参加。ボナール十和田では70名が参加。濱田さんの指導を受けての「指画」体験では、初めてながらそれぞれ個性的な「指画」を描いていた。

yubiga2.jpg写真上/指画を実演して見せる濱田珠鳳さん。

写真下/濱田さんが実演で描いた指画

 新渡戸稲造生誕150年記念講演
 稲造研究の第一人者佐藤全弘さん(大阪市立大学名誉教授)語る
 nitobeinazou.jpg今年は新渡戸稲造が生まれて150年目。新渡戸記念館(新渡戸常憲館長)及び十和田市教育委員会は、新渡戸稲造の思想なり活動を広く知っていただこうと、新渡戸塾を開講。
 その第2回目の講演は、『新渡戸稲造全集』の編集委員であり、新渡戸稲造研究の第一人者、大阪市立大学名誉教授の佐藤全弘さんであった。
 佐藤さんは、「光は東北から‐日本復興のさきがけ‐」と題して講演。
 東北は、平安時代の初期の貞観三陸大地震、明治の三陸大地震、昭和の三陸大地震、そして今回の東日本大震災と、東北は大きな地震と津波に見舞われてきた。
 また東北は、冷害の常襲地域であり、そのたびに飢饉に見舞われてきた。
 一方、戦前は兵役、戦後の経済高度成長時代には労働力の供給源として日本を支えてきた。
 このように、東北は災害や政治に冷遇されながらも、そのたびに不屈の精神と独立の精神で復興を成し遂げてきた。
 新渡戸稲造は昭和8年の三陸大地震を見ています。
 そして稲造は、英字新聞に書いたコラムで、正直、親切、思いやりの、日常の三徳の実践こそ日本復興の源である。東北には三徳を持つ人々がたくさんいると書いています。
 稲造は、日常の徳とは、正直、親切、思いやりの実行であり、職業的愛国者のいう、愛国心や忠義は信用できないといっています。
 今、日本で必要なことは、震災、原発災害の事実の正直な原因究明であり、東北人の独自性を尊ぶ復興でなければならない。復興は、東北の新しい文化の創造でなければならないと、新渡戸稲造の思想と、東北人への復興の想いを語った。

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未来遺産十和田・稲造生誕150周年記念・新渡戸塾・稲生塾講座
 日本でただ一人「指画」濱田珠鳳先生をお迎えしての特別講座
 筆を一切使わず、手、手の甲、指などで描く中国の伝統技法「指画」を受け継ぐ。

 

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 《こども講座》
 ▽日時/12月22日(土)午前9時30分~11時30分

 ▽会場/十和田市民文化センター

 ▽入場/無料(事前申し込み必要)
《一般講座》
 ▽日時/12月23日(日)午後1時30分~3時30分

 ▽会場/ケアハウス・ボナール十和田

 ▽入場/無料(事前申し込み必要)
 ▽主催/新渡戸記念館

 ▽問い合わせ/℡0176‐23‐4430

 

 新渡戸稲造ってどんな人だったの?好きなものは?嫌いなものは?ファッションは?勉強はどんな風にしたの?偉人・新渡戸稲造の身近な素顔に迫る。

inazouten1.jpginazouten2.jpg ▽期間/~12月28日(金)

 ▽会場/新渡戸記念館

 ▽問い合わせ/℡0176‐23‐4430

 

 *写真は、稲造展と、三本木町(現十和田市)の父祖の記念碑を訪れたときの新渡戸稲造

 

石川光男さん日本人の心を説く
 nitobejuku.jpg今年は新渡戸稲造博士の生誕150年である。
 三本木開拓をした新渡戸伝、その孫新渡戸稲造につながる唯一の正当な子孫である新渡戸記念館(新渡戸常憲館長)では、新渡戸塾を開講。その第1講座は、国際基督教大学名誉教授の石川光男さんであった。
 石川さんは、「未来を創る開拓精神 未来に遺す共創都市十和田」と題して講演。
 日本は今親が自分の子供を殺したり、虐待するなど、憂いべきことが起きている。むかしはそんなことがなかった。
 これは、特に戦後欧米の文化が日本に入ってきて、欧米の文化が優れていて、日本の文化は遅れているという考え方から、日本人としての誇り、心が失われてきた結果である。
 キリスト教を根底とした欧米の文化は、○×思考、数量重視、個を重視した経済至上主義である。
 それに対して日本の文化は、自然畏敬であり、山や森林、巨木にも神がいると信じている。また、公を重視し、人とのつながり、自然とのつながりを大事にした文化である。
 公のために尽くし、三本木開拓をした新渡戸伝、新渡戸稲造博士の志を受け継ぎ、どう具現化するか。100年後の十和田市は、市民の皆さんにかかっているなど話し感銘を与えた。

 写真は、日本人の心を説く国際基督教大学名誉教授の石川光男さん

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