実践的アンチエイジング講座

4、ひとは何歳まで生きられるか

[実践的アンチエイジング講座]
 私は仕事柄、新聞のおくやみ欄には必ず目を通す。
 ちなみに、平成23年(二〇一一)6月7日号の朝日新聞(青森県版)のおくやみ蘭を見ると、最高齢で亡くなった方は97歳、続いて95歳、93歳、92歳と、27人中90歳以上が6人もいた。
 90歳以上ということは、その多くは寿命が尽きた、いわば老衰死であろう。大往生である。
 長寿全国ワースト1の青森県であるが、90歳以上は立派である。
 全国ではどうであろうか。
 今年(二〇一一)4月、京都に住む木村次郎右衛門さんが、113歳で、男性の長寿世界一と認定された。
 女性では、佐賀県に住む長谷川チヨノさんが114歳で日本一、世界第三位の長寿である。
 世界に目を向けてみると、これは過去の記録であるが、男性としての世界最高齢記録は、沖縄県の泉重千代さん(一八六五~一九八六)が120歳。女性の世界最高齢記録はフランスのジャンヌ・カルマンさん(一八七五~一九九七)の122歳である。
 以下、男性も女性も119歳、118歳、117歳と、120歳を越えたひとはいない。
 一般的には、ひとの最大寿命は凡そ120歳とされている。
 他の動物はどうであろうか。
 身近な動物では、犬は、これは犬種によっても多少違うが、凡そ10~14歳。猫は凡そ10歳~15歳。馬は凡そ10歳~20歳ぐらいである。
 日本では、長寿の目出度い動物として崇められている鶴と亀。鶴は千年亀は万年といわれているが、実際には、鶴は凡そ20年~30年。亀はさすがに長く70年~80年といわれている。
 逆に、寿命の短い動物では、ハツカネズミは1年ぐらいである。
 ということで、地球上で一番長生きしている動物は人間ということができる。
 ちょっと話しが横道に反れるが、セミの寿命が一般的には一週間とか二週間とかいわれているが、それは地上に出て交尾をし、子孫を残すための時間で、実際にはセミは幼虫として土の中で5、6年暮らしている。したがってセミの寿命は5、6年、あるいは種類によってはそれ以上ということになる。
 植物の寿命がもっと面白い。昭和26年(一九五一)に、千葉県検見川の縄文遺跡近くの地下6㍍の地層から東大農学部の大賀一郎教授が、蓮の種を3粒発見した。そのうちの一粒が発芽し、現在大賀ハスとして全国に普及している。
 このハスの実は約2000年前のものであった。つまりこのハスの寿命を2000年といっていいのかどうかはわからないが、種子という形で確実に2000年生きていたわけである。
 このように、地球上には様々な命の形がある。
 さて、話しを本題に戻そう。
 人間は、約120年生きられる。現在日本では100歳を超えるひとが四万四千四百四十九人いる(平成22年)。日本人は、人間の寿命の限界である120歳に限りなく近づいているということになる。
 すべての動物は、誕生し、成長し、老化し、やがて死ぬ。
 動物が死ぬ、あるいは寿命が尽きるというのは、老化に原因がある。逆にいうなら、老化の進行は動物によって違い、その老化の進行状況が、その動物の寿命ということになる。
 老化についての研究がなされ、『老化はなぜ起こるか』(S・M・オースタット著=吉田利子訳)草思社刊)、『ヒトはどうして死ぬのか‐死の遺伝子の謎』(田沼靖一著)幻冬舎刊、『寿命論‐細胞から「生命」を考える』(高木由臣著)日本放送出版協会刊など、老化についての本がたくさん出されている。
 ひとは何故老い、死ぬのか。本にすると前述のように数冊になるが、基本的には次ぎのようなことであるらしい。
 成人の身体は凡そ60兆個の細胞でできている。その細胞が毎日3000億個~4000億個死んでいる。
 細胞が3000億個?、そういわれても私たちにはピンと来ない。細胞3000億個を重さに換算すると約200㌘、凡そステーキ1枚分であるそうである。その200㌘の死んだ細胞は皮膚の場合は垢として剥がれ落ち、内臓の場合は便などと一緒に排出される。
 一方、細胞分裂によってその死んだ分の細胞が新しく補われる。つまり新陳代謝である。
 新陳代謝は、皮膚は28日、その他は3ヵ月~1年ですべて新しい細胞に置き換えられる。
 しかし、この新陳代謝が永遠に行なわれるわけではない。歳と共に、ホルモンの出が悪くなったり、活性酸素が細胞を傷つけガン化したりして、新しくつくられる細胞より死ぬ細胞の方が多くなってくる。
 顔にシワやシミができる、骨がスカスカになってくる骨粗鬆症、あるいは脳細胞が萎縮するアルツハイマーなどがそれである。それは内臓とて同じである。そして体重も減少する。
 その新陳代謝にも限度がある。その新陳代謝の回数がDNAの中に組み込まれている。ひとの場合は、その限界が120歳というわけである。
 頭が白くなるのや薄くなるのは、これは遺伝的要素が強い。が、70歳、80歳、あるいは森光子のように90歳になっても若々しいひとがいる。かと思うと、同じ年齢でも、いかにもお年寄りですというひともいる。
 その違いはどこからくるのか。
 老いと死のメカニズムが同じであっても、老いの進行は、実はそのひとの心の持ちようや運動、食生活によって大きく変わってくるのである。
 そのメカニズムを知り、出来るだけ老いの進行を遅らせ、木村次郎右衛門さんのように寿命の直前まで健康で、人生を全うしようというのが、この実践的アンチエイジング講座である。

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文:小笠原カオル
文:小笠原カオル

監修

監修:川村賢司
監修:川村賢司

プロフィール
昭和15年(1940)青森県野辺地町出身。東京医科大学卒業、元北里大学薬学部准教授、医学博士。退職後は、㈱東京科学技術研究所長などを務める。著書に『もっともらしい健康の常識』など多数。

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