実践的アンチエイジング講座

5、ひとは何故病気をするのか

[実践的アンチエイジング講座]
 私はあと30年、100歳まで仕事をしたいという。
 すると友人の一人は、お前の元気だったら出来るんじゃないという。もう一人の友人は、そんなこといったって、歳をとるとガンにかかるリスクも高くなるわけだし無理無理と、二手に分かれる。
 私は40歳のとき、80歳まで働こう。そのためにはサラリーマンでは駄目だと会社を辞め、80歳まで出来る仕事を探した。それが現在の仕事である。それから約30年、70歳を目前にした私は、酒は年齢にしては人並み以上飲むし、仕事も現役バリバリである。
 平成16年(二〇〇四)に、十和田市民大学で、70歳でエベレストに登頂し、最高齢記録を達成したプロスキーヤーの三浦雄一郎さんを招いた。
 映像を交えたエベレスト登頂の話に、私は感動した。
 ところが、その翌々年(二〇〇六)だったろうか、東京都老人総合研究所で、三浦雄一郎さんと、その父三浦敬三さんの二人の体力テストしたところ、雄一郎さんは20代の若者と同じ体力があり、100歳になっていた父敬三さんの大腿骨の強度は、60歳並であることがわかったと新聞に報道された。
 私はその記事を見て、あ、人間って、努力することによって40歳ぐらい若返ることが出来るんだと思った。
 それじゃ、私も努力して、40歳まで行かなくても、20、30歳ぐらいは若返ろう。そう思って、私は仕事年齢を90歳まで引上げた。
 ところが、私の尊敬する、私の人生の師である、元青森大学学長の盛田稔先生は、大正6年(一九一七)3月15日生まれの満94歳である。そして、現在なお青森県文化財保護協会会長の要職を務め、歴史研究に没頭している。
 大正生まれの盛田先生が94歳で現役なら、昭和生まれの私は100歳まで仕事ができない筈がない。そう思って仕事年齢を100歳まで引上げた。
 100歳まで仕事をしようと、仕事年齢を100歳まで引上げたのは、こんなごく単純な発想である。と、同時に私は、100歳まで仕事をするのはそう難しいことではないと思っている。
 しかし、100歳まで仕事をするにしても、友人の一人がいうように病気をしなければの話である。
 病気をしない生き方があるのか。まず、ひとは何故病気をするのかを知らなければならない。
 以下、『人はなぜ病気になるのか』北村裕夫著(岩波書店刊)を参考に、ひとと病気について考えてみよう。
 現生人類(ホモ・サビエンス・サビエンス)が地球上に出現したのは凡そ15万年ぐらい前とされている。
 以来、人類が生きるための闘いは、飢えと寒さ、そして人間より強い動物、虎や豹など外敵との戦いであったろう。
 その時代に、人間の命を落とすほどの病気があったのかどうかわからない。
 参考になるとすれば、人間の全く手の入らない野生動物の世界であろう。
 ひとが病気をしたかどうかは、歴史時代に入らなければわからない。
 記録されている一番古い病気はペスト(黒死病)である。これは『旧約聖書』にも記載されているという(『人はなぜ病気になるのか』)。ペストは、六世紀~八世紀半ばに、ヨーロッパを中心に大流行し、人口の三分の一が亡くなったという、人類の歴史上最も致死率の高かった恐ろしい病気、伝染病であった。
 この伝染病の病原体であるペスト菌は、一八九四年(明治27年)に、パスツール研究所の細菌学者アレクサンダー・イェルサンと、ロベルト・コッホの指導を受けた細菌学者北里柴三郎によって発見され、ストレプトマイシンなどの発見によって克服された。
 また、一九一八年(大正7年)に、アメリカから始まったスペイン風邪は、全世界に飛び火し、感染者は全世界で約6億人、死者は最終的に4000万人~5000万人といわれ、第一次世界大戦の死者をはるかにうわまわった。日本でのスペイン風邪により死者は39万人であった(『ウィペディアフリー百科事典』)。
 その他、感染症では、コレラ、発疹チフス、腸チフス、ハンセン病、梅毒、麻疹、天然痘、などがあったが、これら感染症の多くは、ペニシリンやストレプトマイシンなど抗生物質の発見やワクチンの開発によって、その多くは克服されてきている。
 しかし、世界の三大感染症のうち、HIV=エイズ(後天性免疫不全症候群)は、その感染者は世界で3320万人と推定され、210万人が死亡している。特に人口過密な中国やインドで増えるものと推定されている。
 結核は、一時は収まったと思われていたが、発展途上国を中心に年間900万人が発生しているという。
 マラリアは、日本ではほぼ撲滅されたが、世界で2億5000万人が感染し、88万人が死亡しているという(三大感染症世界基金日本支援委員会)。
 これらの病気は、外的要因、つまり、身体の外部から体内に侵入してきた細菌やウイルスなどによって引き起こされる病気である。
 HIVのように、まだ完全な治療薬が発見されていないものもあるが、その多くは抗生物質等によって克服されてきている。
 さて、現在の日本人の死亡原因を見てみよう。
 第1位は悪性新生物(30㌫)。つまり各種がんである。
 第2位は心疾患(15・9㌫)。つまり狭心症、心筋梗塞、不整脈、弁膜症、動脈瘤、心不全などである。
 第3位は脳血管疾患(11・1㌫)。つまり 脳梗塞、脳出血、クモ膜下出血などである。
 以下、肺炎(10・1㌫)、不慮の事故、老衰、自殺、腎不全、肝疾患と続く。
 この悪性新生物、心疾患、脳血管疾患の上位三つで全死亡率の57㌫と6割近くを占めている(「厚生労働省平成20年人口動態統計」)。
 逆にいうなら、この上位三つによる死亡を防げたなら、平均寿命がグーンと上がるということになる。
 この上位三つの病気は、内的要因によるもの。つまり、食生活や飲酒、嗜好品、化学物質など生活習慣からくるものであり、その多くは自己責任による病気である。
 ということは、これら三つの病気は、生活習慣を変えることによってかなり防げる病気ということになる。
 最近、本屋に行くと、『病気にならない生き方』(新谷弘実著)サンマーク出版刊、があったかと思うと、『がんを治す食事療法』(帯津良一・上野圭一著)法研刊、『「がんが食事で治る」という事実』(済陽高穂・星野仁彦著)マキノ出版刊、『「体を温める」と病気は必ず治る』石原結實著)サンマーク出版刊など、病気にならない生き方どころか、がんさえ食生活の改善、つまり生活習慣の改善でもって治るというところまで来ている。
 このように、内的要因による病気は、絶対ということはいえないにしても、生活習慣を変えることによって、可なりの高い確率で病気にならない生き方ができるものと私は思っている。

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文:小笠原カオル
文:小笠原カオル

監修

監修:川村賢司
監修:川村賢司

プロフィール
昭和15年(1940)青森県野辺地町出身。東京医科大学卒業、元北里大学薬学部准教授、医学博士。退職後は、㈱東京科学技術研究所長などを務める。著書に『もっともらしい健康の常識』など多数。

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