実践的アンチエイジング講座

6、身体を知ろう(3) 肝臓

[実践的アンチエイジング講座]

4、肝臓

 酒飲みにとってはちょっと気になる臓器である。
 それは、酒(アルコール)は肝臓で分解される。あるいは、飲みすぎると、肝臓に障害が起こることを知っているからであろう。
 それでは、肝臓がどこにあって、どんな働きをするのといったら、答えられるひとは果たして何人いるであろうか。

 

 肝臓は人体最大の臓器
 肝臓は、肋骨の下、肺と内臓の間にある横隔膜のすぐ下にあり、右上腹部から左上腹部まで及び、左側は小さく、右側は右上腹部の殆んどを占めている。
 その大きさは、男性で約1200㌘、女性で約1000㌘ある人体最大の臓器で、41度と身体の中で最も温度の高い臓器である。
 しかも、肝臓に流れる血液の量が、毎分1㍑~1・8㍑。心臓から拍出される血液の三分の一近い、実に28㌫が流れ込んでいる。
 肝臓は、肝小葉と呼ばれる0・7~2mm3(立方㍉㍍)の六角柱の組織でできており、その1個の肝小葉が約50万個、そしてその中に、約2500億個の肝細胞が入っている。
 さて、肝臓にはどんな機能があるであろうか。

 肝臓は、栄養分の分解や合成、あるいはアルコールなど有害物質を分解したり、腸内での脂肪の消化吸収を助ける胆汁を濃縮して貯蔵する、あるいは必要に応じて胆汁を排出するなど、その働きは身体の中の一大化学工場である。
 それでは、肝臓のその主な働きを見てみよう。

 

 肝臓は、栄養分の代謝、解毒、貯蔵など数十種類の機能をもっている
 口から入った食物が、胃で流動状に攪拌され、腸で消化されると同時に栄養分が吸収される。しかし、その栄養分がそのままでは、身体がエネルギーとして活用することができない。
 肝臓の主な働きとしては、
 ①肝臓に送られた栄養分が、肝臓でまずブドウ糖に化学処理され、エネルギー源として全身に送る。
 ②余分なブドウ糖は、グリコーゲンに変え肝臓に貯蔵して置く。
 ③糖から脂肪をつくったり、逆にアミノ酸や脂肪から糖をつくる。
 ④アミノ酸からタンパク質を合成する。
 ⑤逆に、タンパク質を分解、合成する。その際、人体に有害なアンモニアが発生する。肝臓は、これを尿素に変えて血液に放出し、腎臓から尿として排出する。
 ⑥薬などの含まれる有害な物質などを、無害な物質に変化させる。
 ⑦ビタミン類を働きやすい形にして貯蔵する。
 ⑧古い赤血球を材料にして胆汁をつくるetc...
 と、肝臓は、代謝、合成、解毒、貯蔵など、その他たくさんの機能をもっている。まさに化学工場である。
 そのために、たとえば他の臓器では、人工腎臓や人工肺、人工心臓などがつくられているが、人工肝臓だけはつくることができない。

 

 肝臓のアルコールを分解するしくみ
 酒の強いひと、弱いひと、あるいは全く飲めない下戸のひともいる。
 また、ロシア人みたいに、アルコール度40~50度、あるいは96度という純粋アルコールに近いウオッカを常飲しているひとたちもいる。
 その違いはどこから出てくるのであろうか。
 肝臓には、アルコールを分解する酵素があり、この酵素によって三段階にわたって酸化され、最終的には二酸化炭素と水に分解して、息や尿と共に体外に排出する。
 ビールが一番わかりやすいが、ビールを飲むとやたらにトイレに行きたくなったり、息が酒臭くなるのはそれである。
 ところが、このアルコールを分解する酵素が、多いひと、少ないひと、全くない人と、個人差がある。あるいは民族によっても違いがある。一般的に日本人は、この酵素が少ないひとが多いといわれている。
 それが、酒の強いひと、弱いひと、下戸のひと、あるいはアルコール度40~50度の酒を飲んでも平気なひとの差として表れるのである。
 しかし、どんなに酒の強いひとでも、飲みすぎる、あるいは毎日継続して飲むと、当然アル中(慢性アルコール中毒)になるだけでなく、アルコール性肝臓障害、脂肪肝、肝硬変、肝臓がんなどの病気がまっている。

 

 肝臓は沈黙の臓器
 肝臓はこのように、大変な役目をもっているために、一部が障害をおこしたり、ウイルスなどで破壊されるなど、70~80㌫肝臓が破壊されても、回復する再生能力が非常に強い。
 ところが肝臓には、痛みを感じる知覚神経がない。
 そのために、肝臓に異常がおきても、飲んだあとの二日酔いがひどいとか、体がだるい、疲れやすい、あるいは吐き気がするなど、症状が表に出てくるまで気がつかないひとが多い。
 が、症状が表にでてきたときは、もう手遅れになっている場合が多い。
 肝臓の疾患を防ぐには、酒は週1、2回の休肝日を設ける。あるいは酒を飲んだときは水を飲むとか、年1回は健康診断を受けるなどの注意が必要である。

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 肝臓は、人体最大の臓器で、人体の化学工場ともいわれている。その大きさは男性で約1200㌘、女性で約1000㌘ある。肝臓図(『からだのしくみ辞典』(浅野伍朗監修)成美堂出版より

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文:小笠原カオル
文:小笠原カオル

監修

監修:川村賢司
監修:川村賢司

プロフィール
昭和15年(1940)青森県野辺地町出身。東京医科大学卒業、元北里大学薬学部准教授、医学博士。退職後は、㈱東京科学技術研究所長などを務める。著書に『もっともらしい健康の常識』など多数。

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