実践的アンチエイジング講座

6、身体を知ろう(4) 胃と腸

[実践的アンチエイジング講座]

 5、胃と腸
 食べたものが、歯で噛み砕かれ、唾液と混ぜ合わされ食道を通って胃に送られる。
 胃では、強い酸性の消化液と平滑筋の蠕動運動によって粥状になり、腸に送られる。
 腸では、栄養分と水分が吸収され、残った固形物が肛門から排便される。
 口から肛門までは、食べたものが通る、約10㍍の一本の道である。
 ここではその中の、胃と腸について紹介しよう。
 胃と腸は、腹いっぱい食ったとか、胃がもたれる、あるいは便秘など、身体の中で日常的に意識される器官である。
 日本人の死亡原因の第1位は悪性新生物、つまりがんで30・3㌫、実に3人に1人ががんで死亡している(平成20年)。
 そのがんの中で死亡率の高いのが肺がん、続いて胃がん、そして大腸がんである。
 ということから、胃と腸を知ることは、胃ガンや大腸がんについて考えることにもなる。

 

 
 まず、胃の大きさであるが、健康な成人で約1・5㍑ぐらいとあまり大きくない。
 しかし、宴会などでは、よくこんなに胃に入るものだと思うほど、飲んで食う。
 私なんか、1~2時間で、ビール大ジョッキ(約1㍑)で4、5杯、つまり1升瓶(1・8㍑)で3本近くは飲む。その他に食べるのである。
 皆さんは焼肉屋でミノを食べたことがあるであろう。あれは牛の胃である。肉厚でかなり歯ごたえがある。歯ごたえがあるのは強靭な筋肉だからである。
 もちろん、牛と人間は違うが、人間の胃も三層の筋肉(平滑筋)と二層の粘膜からなっており、かなりの伸縮性がある。
 胃には次のような働きがある。
 ①食べた食物を胃液と混ぜ合わせ攪拌する。簡単にいうと、セメントを混ぜ合わせるミキサーのようなものである。
 ②食べたものを殺菌する。
私たちは、大腸菌や雑菌などがたくさんついたものを知らずしらずに食べている。
 胃液は、pH1~2・5という塩酸液で、食べたものが胃に入ると、反射的に胃液が分泌される。この強酸胃液で食べたものを殺菌ないし減菌しているのである。
 が、同時に、強酸の胃液から胃の粘膜を守る粘液を出している。
 ③食べたものを一時貯蔵する。
 ④そして、胃で胃液と混ぜ合わせられ粥状になったものを次の段階である十二指腸に送るのである。
 食べたものが、胃にどれくらい滞留しているのだろうか、一般的には2~4時間といわれているが、食べた物によって大きな差がある。
 インターネットの、管理栄養士「ぽっちゃり天使」によると、
 ・水      1時間30分
 ・牛乳     2時間
 ・ビール   1時間15分
 ・ビフテキ  4時間15分
 ・エビ天ぷら 4時間
 ・ご飯      2時間15分
 ・パン      2時間45分
 ・やきいも   2時間
 ・りんご    1時間15分
 ・ほうれん草2時間
などとある。
 しかし、食べるときは、たとえばご飯、肉、野菜、魚など様々混ぜて食べるから、これは一つの目安として考えればいい。
 いずれにしても、炭水化物や野菜などは2時間前後であるのに対して、肉や天ぷらなど蛋白質、あるいは油の多いものはほぼ倍の4時間前後滞留している。
 だから、1日三食の他間食をする人は、常に胃に食物があり、胃に負担をかけているということになる。
 当然のことながら、食べる量が多いと滞留時間も長くなる。
 また、夜遅く食べると、寝ている間も休みなく胃が働いていると同時に、脂肪が吸収されやすく、太る原因にもなる。
 少なくても寝る4時間前は食べない方が良い。
 胃は、焼肉のミノでもわかるように、三層の強靭な平滑筋と二層の粘膜で作られているが、意外にデリケートな器官である。
 それは、ストレスに非常に弱いということである。
 特に、空腹時にストレスをかけると、自律神経のバランスの崩れ、胃に食べ物が入っていないのもかかわらず胃液の分泌が起こる。そして強酸で胃の粘膜を溶かしてしまうのである。これが消化性潰瘍で、神経質でストレスに弱いひとは、特に気をつけた方がよい。 また、暴飲暴食、早食い、喫煙、塩分の多い食事なども胃に負担を与え、胃潰瘍やがんなどのリスクを高めることになる。
 日本人の胃ガンの患者のうち、6割が50歳代~60歳代の男性で占められている。
 これはすべてのがん」にいえることであるが、高齢になってくると胃が萎縮するなど、加齢現象のひとつとしてがんのリスクが高まってくる。

itochou.gif 日本人の一番高い死因で圧倒的に多いのが悪性新生物、つまりガンである。そのガンの中で一番多いのが肺ガン、続いて胃ガン、3番目が大腸ガンである(図は『ドクターアリスが教える長寿の秘密』より)

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文:小笠原カオル
文:小笠原カオル

監修

監修:川村賢司
監修:川村賢司

プロフィール
昭和15年(1940)青森県野辺地町出身。東京医科大学卒業、元北里大学薬学部准教授、医学博士。退職後は、㈱東京科学技術研究所長などを務める。著書に『もっともらしい健康の常識』など多数。

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