実践的アンチエイジング講座

6、身体を知ろう(5) 胃と腸

[実践的アンチエイジング講座]

 腸ー十二指腸
 さて、次は腸であるが、腸は、大きくは十二指腸、小腸、大腸に分けられ、それぞれ役割が違う。
 胃で、粥状になった食べたものが、まずこの十二指腸に送られる。
 十二指腸は、長さ約25㌢ほどで、C字状に曲がっている消化管である。
 「十二指腸」のその名の由来は、本来は12インチほどの長さという意味であったが、翻訳者が何を間違ったか指を12本並べた長さであると訳したことから名づけられたともいわれている。
 十二指腸の役割は、胃から送られてきた粥状の食べものを、次の器官である小腸で栄養分が吸収されやすいように、アルカリ性の消化液である胆汁と膵液でもって消化することにある。
 胆嚢でつくられる胆汁は脂肪を分解し、すい臓でつくられる膵液は蛋白質や炭水化物、脂肪などを分解する。

 腸ー小腸
 小腸は身体の中で一番長い器官で、成人で直径約4㌢、長さが7~8㍍あり、その表面積はテニスコート1面分に匹敵する約200平方㍍(約60坪)ある。しかし、お腹の中では腸管筋肉によって3㍍ほどに縮まっている。
 小腸の役割は、主には、
 ①栄養分を消化・吸収する。
 ②水分を吸収する。
である。
 腸管膜には、血管、リンパ管、神経が通っており、その内壁には絨毛が隙間がないほどびっしりと並び、絨毛の先にさらに微絨毛があり、その微絨毛が栄養素を吸収するのである。
 小腸では、栄養素の90㌫が吸収され、吸収された栄養素は肝臓に運ばれる。
 私たちは普段、消化器官の中で、胃までは意識するが、十二指腸や小腸、大腸を意識することはほとんどない。したがって、飲みすぎた、食べ過ぎたなど、胃の健康については意識するが、小腸が具合が悪い。あるいは大腸が具合が悪いなどと意識することが少ないであろう。
 ところが、たとえば小腸の表面積が200平方㍍、テニスコート1面分と、人間の身体の表面積の約5倍もあるように、小腸は単に栄養や水分吸収するだけの器官でない。動物の原点というべき機能を持っている。
 以下、「腸人会議」(山城裕一郎順天堂大学大学院得任教授)によると、まず、精子が卵子に入り込み受精卵ができる。そこから細胞分裂を繰り返し、次第に人間の形が出来てくるわけだが、最初にできる器官が脳でもなければ心臓でもない。腸なのである。その腸の両端が、一方は口になり、一方は肛門になって行くというのである。
 つまり、すべての動物は、栄養素を外部から取り入れなければ生きて行けないし、成長もできない。受精卵から人間になる第一歩は、外部から栄養素を取り入れる器官、腸から始まる。
 自然界には、様々な動物がいる。が、ミミズ、あるいはクラゲやイソギンチャクのように、脳や心臓のない動物はいるが、腸のない動物がいないというのである。
 また、腸の中には数百種類、凡そ100兆個の腸内細菌がいるという。
 これは、人間は約60兆個の細胞でできているといわれているが、それよりはるかに多い腸内細菌が腸の中にいるということである。
 腸には約1億個の神経細胞がある。これは脳に次ぐ神経細胞で、腸は脳から独立しており、第二の脳ともいわれている。
 また、腸には身体全体の免疫細胞の50㌫が集まっており、胃と同じくストレスに非常に敏感である。
 免疫細胞は、簡単にいうと、細菌などの外敵から身を守ってくれる勇猛果敢な戦士である。
 ということから、小腸は単なる栄養と水を吸収するだけの器官ではなく、健康な身体を保つ最も重要な器官の一つである。

 腸ー大腸
 さて、口から入った食べ物が、胃で粥状にこなされ、十二指腸で分解・消化され、小腸で栄養分が吸収され、その残りかすが大腸に送られる。
 大腸の主な役割は、
 ①水分を吸収する。
 ②便をつくる。
ことにある。
 大腸の長さは成人で約1・5㍍。大腸には、盲腸、結腸、直腸があり、水分を絞りとられたかすが、最後は直腸に溜まり、直腸が肛門と直結している。
 日本人のがんでの死亡率の第1位は肺ガン、第2位は胃がん、第3位は大腸がんである。
 が、女性だけみると、実はがんでの死亡率の第1位が大腸がんである。
 これはチョコレートなどの甘いもの、あるいはお菓子などを多く食べる。そして、植物繊維の多い野菜などはあまり食べないことと深い関係がある。
 このことを知っている女性は何人いるであろうか。
 大腸がんは、昭和25年(一九五〇)から右肩上がりにあがり、半世紀の間に3倍以上に増えている。
 これは、野菜を中心とした食生活から、肉を中心とした食生活へと変化したことに、大きな原因があるといわれている。
 つまり、脂肪や動物性蛋白質のとり過ぎである。
 国別の大腸がんの死亡率をみると、世界で最も肉を食べている、世界最大の牧畜国ニュージーランドが大腸がんでの死亡率が世界一高い。がんと食生活の因果関係がはっきりしている。
 アンチエイジングは何より病気をしないことである。私たちは腸の健康についてもっと気を使わなければならない。

 

juunisichou.jpg十二指腸は、すい臓から膵液を、胆嚢から胆汁を取り入れ、食物を・消化する(図は『からだのしくみ辞典』成美堂出版刊より)


文:小笠原カオル
文:小笠原カオル

監修

監修:川村賢司
監修:川村賢司

プロフィール
昭和15年(1940)青森県野辺地町出身。東京医科大学卒業、元北里大学薬学部准教授、医学博士。退職後は、㈱東京科学技術研究所長などを務める。著書に『もっともらしい健康の常識』など多数。

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