実践的アンチエイジング講座

6、身体を知ろう (10)筋肉

[実践的アンチエイジング講座]

 「身体を知ろう」の最後は筋肉である。
 私の父は87歳で運転免許証を更新したが、車をぶっつけたり、トラクターをひっくり返したりしたので、危ないと思い車の鍵をとりあげた。
 そうすると88歳からほとんど歩かなくなった。
 それから2~3年して歩くたびに足がプルプル震えてきた。父の脛をみると、脛の筋肉がすっかり衰え、文字通り骨と皮(皮膚)だけになっていた。
 93歳でとうとう車椅子の生活になってしまった。
 大腿四頭筋や前頸骨筋、下腿三頭筋など、脛の筋肉が衰えてくると、歩くことさえ困難になる。
 また、難病で筋ジストロフィーという病気がある。
 この病気は、身体の筋肉が次第に衰えてきて、立つことも、歩くこともできなくなり、最後は心臓を動かす心筋の働きが衰え、死に至るという病気である。
 このように筋肉は、骨がばらばらにならないようにしっかりと支え、内臓が飛び出さないように身体を包み、身体を自由自在に動かすための重要な役割を担っている。
 筋肉には、大きく分けて骨格に付着して身体を動かす骨格筋。内臓などの壁をつくる、内臓筋とも呼ばれる平滑筋。心臓を動かす心筋の3種類の筋肉がある。
 また筋肉には、自分の意思で動かすことの出来る随意筋と、自分の意思で動かすことのできない不随意筋がある。
 骨格筋は、自分の意思で動かすことができるが、血管や内臓などの平滑筋や、心臓を動かす心筋などは自律神経やホルモンなどでコントロールされている。
 骨格筋は400種類以上あり、その重さが、成人の男性で体重のおおよそ4割を占めているというから、如何に筋肉が大事かがわかる。
 成人の男性というのは、女性の場合、男性よりどうしても筋肉量が少ない。男性でも、スポーツ選手となると筋肉の占める割合がもっと大きいであろう。
 私の父は、足が冷たいといって、夏でもコタツに足を入れていた。
 人間の体温は、脇の下で36℃~37℃ある。
 その熱が、運動をしているとき、あるいは食事をしているとき、昼と寝ているときでは違うが、筋肉や肝臓、胃腸などでつくられる。が、一番多くつくられるのが筋肉である。
 つまり、父は筋肉が衰え骨と皮だけになってしまったため、熱をつくることができなかった。だから夏でもコタツに入っていたというわけである。
 女性に冷え性が多いのは、筋肉量が少ないことも大きく関係している。
 しかし筋肉は、主に骨格筋であるが、運動することによって90歳になってからでも鍛えるができる。筋肉を鍛えることは、当然老化を遅らせる。つまりアンチエイジングにもつながる。
 筋肉運動については、数え切れないほどたくさんの本が出ており、またジムもあるので、ここでは省略する。
 しかし、骨格筋でも鍛えにくい筋肉もある。
 たとえば、見た目で老化がはっきりと出、一番目立つのが顔のシワである。
 顔面の皮下には、前頭筋、皺眉筋、鼻根筋、眼輪筋、小頬骨筋、大頬骨筋、笑筋、口輪筋、下唇下制筋、口角下制筋など、たくさんの筋肉があり、顔の表情をつくっている。
 これらの筋肉も加齢と共に衰えてゆく。勿論それだけではないが、その結果、皮膚に張りがなくなり、皮膚が弛み、シワが出てくる一因にもなっている。
 顔の筋肉はなかなか鍛えにくい。が、笑ったり、歌ったりして顔の筋肉を動かすことで顔の筋肉を鍛えることができる。鏡を見ながら、口を大きく開け、歌ってみよう。顔面の筋肉が動くのがよくわかる。

 

kinniku.jpg 『からだのしくみ辞典』(成美堂出版)より


 

文:小笠原カオル
文:小笠原カオル

監修

監修:川村賢司
監修:川村賢司

プロフィール
昭和15年(1940)青森県野辺地町出身。東京医科大学卒業、元北里大学薬学部准教授、医学博士。退職後は、㈱東京科学技術研究所長などを務める。著書に『もっともらしい健康の常識』など多数。

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