実践的アンチエイジング講座

8、ミトコンドリアとアンチエイジング

[実践的アンチエイジング講座]
 皆さんは、1年のうちで一番寒いといわれる大寒(1月20日前後)を中心に各地で行われている、寒中水泳や空手などの寒中滝浴び修業、あるいは寒中裸参りなどを、ニュースや写真で見たことがあると思います。
 青森県弘前市鬼沢地区の鬼神社(きじんじゃ)では、神事として、五穀豊穣・家内安全を願い、大きな樽に冷水を入れ、フンドシ一本の裸の男たちが「よっしゃ」の掛け声と共に樽に飛び込む。
 周りの男たちはその樽に容赦なく雪を放り込む。
 見ていて、寒いだろうな、よく風邪をひかないものだと不思議に思うが、何故かそこだけが熱気がこもっている。
 この鬼神社の裸参りの神事は、400年ほど前から行われているという。
 このような寒中水泳や寒中滝浴び修業、裸参りで、1回でも風邪をひき、あるいは肺炎をおこし死人が出たなら、400年も続かなかったであろう。
 しかもこれに参加する人たちは、寒さに強くなるために、特別訓練を受けた人たちではない。
 千葉県館山市の南房総の海で行われている寒中水泳大会や、愛媛県大洲市の肱川(ひじかわ)で行われている寒中水泳には、中学生や高校生たちも参加している。
 実は私自身も、寒中水泳や寒中滝浴びではないが、平成13年(二〇〇一)より、真冬も含め365日素足で、下半身はパンツとジーパンだけで、平成22年(二〇一〇)より、上半身もTシャツ1枚と、冬は長袖ではあるがTシャツ1枚と、それにジャケット1着羽織るだけで過ごしている。
 つまり、私は上半身も下半身も年中2枚しか着ない薄着の生活をしている。
 周りのひとは、寒くないの、身体が冷えるぞ、風邪ひくぞと心配してくれるが、寒いどころか、身体がホカホカし、それまでは年に1回以上必ず風邪をひいていたのが、素足で生活するようになってから1回も風邪をひいていない。
 それはこうであった。
 平成12年(二〇〇〇)の健康診断で、医者から「お前危ないよ」といわれた。
 どうしてというと、
 「血圧が高い」というのである。
 そのときの私の血圧は、下が100、上が140であった。
 どうすればいいのというと、「太り過ぎだから体重を落とせ」といった。
 その頃はまだ、メタボリックシンドロームという言葉が使われていなかったが、身長154㌢のチビのくせに、体重は62㌔と、いわゆるメタボであった。おまけに私は猫背であった。
 私、58歳のときである。
 よし!それなら体重を落とそうと、その翌日から野菜中心の食生活をし、1年間で7㌔減量した。
 そのとき、その減量方法が面白いということで、NHKテレビ、伊東四郎と竹下景子の『疲労回復テレビ』に出演し全国放送になった。
 その年の冬、つまり平成13年の冬になって私は、靴下とズボン下を履いていないのに気がついた。
 私は子どもの頃から寒がりやで、冬には厚いメリヤスのズボン下を欠かしたことがなかったし、冬には必ず1回以上は風邪をひき、寝込むこともあった。
 また私は足が汗っかきで、臭くなるので、夏はできるだけ靴下を履かないでいた。
 が、その冬には、靴下もズボン下も履くのをすっかり忘れていたのである。
 つまり、寒さを感じない、あるいは寒さに強い身体になっていたのである。
 そして、平成22年の冬、身体は上半身も下半身も一つの身体なのに、下半身だけ寒さを感じないのはおかしい。上半身も寒さを感じないのではないかと、その冬から上半身もTシャツ1枚にジャケット1枚で過ごした。
 そのとき初めて、「あ、オレは野菜中心の食生活を行ったことで体質が変わったんだ」と気がついた。
 が、何がどう体質が変わり、寒さに強い身体になったのかがわからなかった。 私は、私がやっている健康法を理論的に裏付けるために、健康に関する様々な本を読んでいる。
 その中の一冊、『体が若くなる技術‐ミトコンドリアを増やして健康になる』(大田茂男著=サンマーク出版刊)という本を読んだときである。
 体のエネルギーはミトコンドリアによってつくられる。そのミトコンドリアを充分に働かせるには、
 ①「マグロトレーニング」をする。
 ②背すじを伸ばすこと。
 ③寒さを感じること。
 ④空腹になること。
 大きく分ければこの四つしかありません。
 と書いてあった。
 あッ、これだ!!体質が変わったのは、私は野菜食をやったことにより、ミトコンドリアが充分に働く身体に変わったんだということがわかった。
 つまり、寒くなると、ミトコンドリアが、こりゃ身体の一大事だ、それエネルギーを燃やせと、一生懸命に熱をつくってくれる。そのために身体がホカホカし、寒さを感じなくなるのである。
 皆さんの周りに、若い人だけでなく、高齢者になってもエネルギッシュに働き、あるいは活動している人がいるかと思います。こういう人は間違いなく、ミトコンドリアが活発に活動している人です。
 さて、ミトコンドリアとは一体なんであろうか。
 簡単にいうと、人間の細胞の中にある小器官で、1個の細胞の中に200~1000個あるといわれている。そのミトコンドリアが酸素を取り入れ、エネルギーを作り出している。
 このとき、その酸素の一部が活性酸素に変化する。
 この活性酸素が、老化や病気の原因ともなる。
 一方では活性酸素は、呼吸から侵入するウィルスや病原菌を退治するから諸刃の刃である。
 このミトコンドリアは、病気をしない身体づくりと長寿、アンチエイジングにとって、最も重要なものの一つである。
 近年このミトコンドリアが注目され、前述したような『体が若くなる技術‐ミトコンドリアを増やして健康になる』や、『ミトコンドリア不老術‐老いないカギは「ミトコンドリアを鍛える」にあった』(日置正人著=幻冬社刊)などの本が出ている。
 寒中水泳や寒中滝浴び修業、裸参りをしている人の顔を見ると、いかにもエネルギッシュな顔をしている。まさに、ミトコンドリアが活発に活動している身体であるからである。

文:小笠原カオル
文:小笠原カオル

監修

監修:川村賢司
監修:川村賢司

プロフィール
昭和15年(1940)青森県野辺地町出身。東京医科大学卒業、元北里大学薬学部准教授、医学博士。退職後は、㈱東京科学技術研究所長などを務める。著書に『もっともらしい健康の常識』など多数。

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