実践的アンチエイジング講座

9、夢をもち「生涯現役」で生きよう(上)

[実践的アンチエイジング講座]

 昭和17年(一九四二)2月10日生まれ、満70歳。私は現在、腕立て伏せ100回、腹筋100回、スクワット100回、踏み台上がり100回以上は出来るから、体力的にはまだまだ若い。
 『少年マガジン』の「はじめの一歩」や、『月間少年マガジン』の「鉄筋チンミ」や「なんと孫六」、『少年ジャンプ』の「こちら葛飾区亀有公園前派出所」が大好きで、さすがに『少年マガジン』や『少年ジャンプ』を買うのはやめたが、少年漫画雑誌『月間少年マガジン』や、青年漫画雑誌『ビッグコミック』、『ビッグコミックオリジナル』、『スペリオール』、『モーニング』、『週間漫画ゴラク』などを買って読んでいる。
 とき折り、面白い漫画があると、大きな声を出してアホみたいに笑っている。
 多分、常識ある大人(?)からいわせると、70過ぎたじじいのくせいに漫画なんか読んで、と笑われるであろう。
 しかし、今は京都精華大学のようにマンガ学部のある大学もある。
 そして、見た目は20歳ぐらい若い。
 さらに、小説をまだ一遍も書いたことがないのに、死ぬときは「小説家」の肩書きで死にたいという大きな(?)夢を持っている。
 私が40歳のとき、80歳まで働こう。そのためにはサラリーマンでは駄目だと思い会社をやめ、1年後に現在の仕事を見つけた。
 平成16年(二〇〇四)、62歳のとき、十和田市民大学でプロスキーヤーの三浦雄一郎さんに来ていただいた。三浦さんが65歳のときエベレストへ登ろうと訓練し70歳でエベレストに登った。
 その翌々年、東京老人総合研究所で三浦さんの体力テストをしたところ、72歳の三浦さんに、20代の若さであるという判定が下された。
 私は、人間は夢や目標をもち活動することによって、40歳ぐらい若返ることができるんだということを知り、仕事年齢を90歳まで引き上げた。
 ところが、私の尊敬する、私の人生の師である、元青森大学学長の盛田稔先生が、90歳を過ぎてなお現役で活躍していた。
 大正生まれの盛田先生が90歳を過ぎてなお現役なら、昭和生まれの私は100歳まで働かなければならないと、仕事年齢を100歳まで引き上げた。
 すごいことに盛田先生は、平成24年(二〇一二)4月、95歳で、困難に陥っている青森大学などを経営する青森山田学園の窮状を救うべく、経営に責任を持つ理事長に就任した。まさに生涯現役である。
 現在、日本で100歳以上の人が5万人を越えた(平成24年9月1日現在・厚労省)。
 しかし、この5万人のうち、7~8割は要介護、つまり寝たきりである。
 しかも、寿命が延びたことによって、医療費や介護費用で、国の財政が破綻しかねないくらい大変な問題となっている。
 長生きは喜ばしいことである。が、三浦雄一郎さんや盛田稔先生のように、健康で長生きできればなお喜ばしい。
 この「実践的アンチエイジング講座」の究極の目的は、単に抗老化のみならず、医者にもかからず、福祉の世話にもならず、健康で長生きし、ピンピンコロリ。人間はどんな超人でも、最大120歳ぐらいまでの間に必ず死ぬ。その死の直前まで、身体も頭も元気で、健康でいることにある。
 そのための、最も大事な一つが、今回のテーマである「夢をもち『生涯現役』で生きよう」である。
 これは、アンチエイジングの理論であり、実践であり、そして人生論でもある。
 健康で長生きには何が必要であろうか。
 基本的には、食事、運動、生きがいの三つである。
 この三つさえちゃんと出来ていれば、大方の人は100歳ぐらいまでは健康で生きられるであろう。
 ここでは、その中の「生きがい」の問題、すなわち「心」の問題を取り上げる。
 脳は人間の身体のすべてを支配している。
 たとえば、足が一本なくても、腕が一本なくても、あるいは耳が聞こえなくても、目が見えなくても人間は、大変であるには違いないが、生きて行くことが出来る。
 ところが、脳の一部がちょっと損傷(脳挫傷)しただけで、半身不随になったり、運動機能障害、失語や視力障害、果ては精神的症状等の後遺症が残るなど、身体に大きく影響する。
 脳には、古い脳(大脳辺縁系)と、新しい脳(大脳新皮質)がある。
 古い脳は、人間の意志に関係なく、心臓を動かしたり、その他の内臓を働かせたり、あるいは、呼吸、消化、内分泌機能、代謝などを行うなど、生存の欲求に関わる自律神経系の脳である。
 それに対して新しい脳は、ものを考えたり、創造する脳。知覚や思考、推理、記憶など、つまり「心」にかかわる脳である。
 この新しい脳は、サルから人間になる過程の中で作られた脳であり、人間そのものである。
 人間以外の動物のほとんどは、新しい脳が未発達か、わずかしか発達していないために、古い脳のみ、つまり本能で生きており、人間のようにものを考えたり、創造することができない。
 この古い脳が、本来は新しい脳と関係なく動いているはずなのに、人間は古い脳が新しい脳の影響を受ける。
 たとえば、人間は、自分の意思で心臓を動かしたり止めたりすることが出来ない。心臓や呼吸、体温調節など、人間の基本的な生命現象を担っているのは、古い脳の一部である脳幹部の延髄である。
 ところが、何かに驚いてびっくりしたとしよう。すると、心臓の鼓動が激しくなり、冷や汗がでたり、呼吸が激しくなったりするなど影響を受ける。
 あるいは、目の前に好きなひとがいると、ドキドキと心臓の鼓動が激しくなる。
 この場合、驚くこと、あるいは好きなひとを認識するのは新しい脳である。
 本来心臓は、古い脳で動いているはずなのに、新しい脳の影響を受けて、心臓の鼓動が激しくなり、血圧が上がったりするなど、様々な形で人間の身体全体に影響を与えている。
 楽しいことがあれば満面笑顔になり、身体も軽やかになる。
 憂鬱なこと、あるいは悩み事があれば、錘をつけたように身体が重く感ずる。
 何かむしゃくしゃしたことがあり、怒り心頭になれば血圧があがる。
 これらは、新しい脳と古い脳は連動しており、新しい脳の働きに対して古い脳が反応しているからである。
 このように、新しい脳によって古い脳を意識的に動かすことが、アンチエイジングにつながるのである。

 

文:小笠原カオル
文:小笠原カオル

監修

監修:川村賢司
監修:川村賢司

プロフィール
昭和15年(1940)青森県野辺地町出身。東京医科大学卒業、元北里大学薬学部准教授、医学博士。退職後は、㈱東京科学技術研究所長などを務める。著書に『もっともらしい健康の常識』など多数。

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