実践的アンチエイジング講座

10、心が変わると身体も変わる

[実践的アンチエイジング講座]

 アンチエイジングで一番大切なことは、なにより病気をせず、健康で長生きするということである。
 前回、「夢をもち『生涯現役』で生きよう」で、健康で長生きするには、①食事と②運動、そして③生きがいの三つであると書いた。
 その三つの中で前回は、生きがい、つまり「心」の問題を書いた。
 そしてその例として、プロスキーヤー三浦雄一郎さん、元青森大学学長の盛田稔先生、陶芸家の妻神義美さん、十和田市文化協会会長の川崎富康さん、歴史研究家の伊藤一允さんを紹介した。
 この5人、80歳、90歳になっても健康で、しかも現役で仕事、あるいは活動をしている。
 80歳の三浦雄一郎さんは、人類未踏の、80歳でエベレストに登ろうという目標と夢を持ち、現在着々と準備を進めている。
 95歳の盛田稔先生は、歴史研究で、あと10年はやりたいことがある。それを成し遂げたいという目標を持っているだけでなく、青森山田学園の窮状を救うべく、理事長に就任した。
 92歳の妻神義美さんは、陶芸を究めたいという夢を持ち、土をこねている。
 84歳の川崎富康さんは、混声合唱団で歌うこと、十和田フィルハーモニー管弦楽団でチェロを弾くこと、マンドリンクラブでマンドリンを演奏することが楽しくてしょうがない。
 79歳の伊藤一允さんは、歴史研究で、やりたいこと、やらなければならないことが、まだまだたくさんある。 というように、5人とも夢と目標をもって、時間を惜しむように現役で活動、あるいは仕事をしている。
 例えば、あなたが現在70歳だとしよう。俺だって晩年は認知症になったり、寝たきりになるのが嫌だ。80歳、90歳まで健康で長生きしたいし、できればピンピンコロリと逝きたいとします。
 が、そう簡単に思うようにできるわけがないと、誰でもが思うであろう。
 身近でおきた、実際にあった例を紹介しよう。

 三浦博さんの体験

 三浦博さんは、十和田市でトップクラスの整備工場を営む社長さんである。昭和14年(一九三九)8月4日生まれ、満73歳である。
 三浦さんは、ちょっと冷たい風にあたった。ちょっと気がゆるんだなどと、毎年2、3回は風邪をひいていた。そのたびに40度もの熱がでるだけでなく、咳がでて大変であった。
 その咳は、そばにいる奥さんが、このまま死ぬんじゃないかと思うほど激しい咳であった。
 そして、風邪が完全に治るまで毎回1ヵ月ぐらいはかかっていた。
 その三浦さんが、昨年の8月から1回も風邪をひかないどころか、毎日朝4時に爽やかに起き、メシ前に一仕事するほど元気になっている。見た目も60歳代の若さである。
 三浦さんはいう。
 仕事で、ある病院に行ったとき、病院に通っている患者が、爺さん婆さんばかりだなと思って見ていたところ、「みんな俺より若いんだよ。わッはッはは......」と快活に笑う。
 確かに、73歳というと一般的には爺さん、婆さんである。
 なぜ三浦さんは、73歳になり、突然に風邪をひかなくなり、若さを取り戻したのであろうか。
 テレビでコマーシャルしているような、何かのサプリメントを飲んでいるわけではない。
 三浦さんが、風邪もひかず、見た目も若くなったのは、ずばり、心が変わったことから、身体が変わったのである。
 三浦さんは、昨年(二〇一二)8月、経営者の勉強会である倫理法人会という団体に誘われ、入会することになった。しかも、入会即会長である。
 この会は、モーニングセミナーといって、一週間に1回、朝6時から、会社の社長さんなどを講師に、その会社の経営のやり方などを聞き、自分の経営に生かそうという会である。
 そのモーニングセミナーのとき、必ず会長あいさつがある。それが嫌で嫌でたまらなかった。が、会長を引き受けた以上は、最低1年やらなければならない。
 三浦さんは、それまでは朝7時ころ起きていたが、倫理法人会に入会してからは、モーニングセミナーが始まる1時間前の5時には起きなければならない。
 最初は、会長のあいさつに何をしゃべろうかと、前の日から考えていたが、次第に慣れ、朝会場に行く車の中で、よし今日はこれを話そうというところまで余裕がでてきた。
 今は、朝5時どころか、前述したように毎朝4時に起きるようになっている。
 そして1年が過ぎ、最初はあれほど嫌だった会長職も、もう1年やりますと自ら申し出るほど、それが生きがいになっていた。
 そして気がついたら、会長を引き受けた昨年の8月から1度も風邪をひいていなかったのである。
 つまり、三浦さんは、生きがいを見つけ、心が変わったことによって、免疫力が高まり、風邪をひかない身体になったのである。
 私は40歳で会社をやめるとき、とりあえずは80歳まで、生涯現役で死ぬまで働くことを目標とした。
 それは、そのときはまだアンチエイジングという言葉もなかったが、私は、夢をもち、目標をもって働いていれば、病気をしないと信じていたからである。
 それから30年、私はそれ以来病気もせず、特にこれは次回からの「食生活とアンチエイジング」の項で話すが、野菜を中心に食生活を変えたときから、ここ10年間1回も風邪をひかず、毎日忙しく充実して働いている。
 皆さんの周りにも、80歳、90歳になっても、元気なひとが何人かいるはずである。
 そういう人は多分、趣味やスポーツ、あるいはボランティアなど、風邪をひく暇がないほど忙しく活動をしているひとであると思う。
 今からでも遅くない。痴呆や寝たきりになりたくなければ、趣味でもいい、スポーツでもいい、あるいはボランティアでもいい。何か心の張りになるものを見つけ、それに夢中になることである。心が変われば身体も変わる。
 「終わり良ければすべて良し」の諺がある。人生に於いても同じである。死ぬまで健康で、病院や福祉の世話にもならず、ピンピンコロリで人生を締めくくることができたら、こんな幸せなことはない。

文:小笠原カオル
文:小笠原カオル

監修

監修:川村賢司
監修:川村賢司

プロフィール
昭和15年(1940)青森県野辺地町出身。東京医科大学卒業、元北里大学薬学部准教授、医学博士。退職後は、㈱東京科学技術研究所長などを務める。著書に『もっともらしい健康の常識』など多数。

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