実践的アンチエイジング講座

11、食生活とアンチエイジング ①

[実践的アンチエイジング講座]

 我が家は長寿の家系?
 健康で長生き、アンチエイジングに必要なものは、いうまでもなく、食事、運動、生きがいの三つである。
 前回は、生きがいの問題を取り上げたから、今回は食の問題を考えてみよう。
 私がアンチエイジングに関心を持ったのは、我が家は私で4代目であるが、江戸末期(慶應3年)に生まれた曽祖父が82歳、明治の初め(明治5年)に生まれた曾祖母が79歳、祖父83歳、祖母95歳で、祖父の妹が40歳代で乳がんで亡くなった以外、我が家で生まれたひとはみな長寿であるということであった。
 しかも、病死したのは祖父の妹一人だけで、その他はほとんど老衰死である。
 ちなみに、平成25年(二〇一三)1月現在、祖父の弟、つまり大叔父は101歳。父94歳、叔父(次兄)87歳、叔父(三男)84歳である。
 父は87歳で運転免許を更新したし、87歳の叔父は85歳までシルバー人材センターに登録し働いていた。84歳の叔父はまだ現役で働いている。
 そして、私の父の兄弟は3人とも妻の方が早く亡くなっている。つまり、我が家で成人するまで育った者だけが長生きしているのである。
 確かに、我が家は長寿の家系である。
 が、もし仮に我が家が長寿の遺伝子を持った家系であるとすれば、我が家で生まれたひとだけがその遺伝子を引き継ぐはずである。
 ところが、我が家に嫁にきたひとも皆長寿である。
 ちなみに曾祖母は79歳、祖母は95歳。母は40代のころ、結核と乳がんを患ったが、それでも82歳まで生きた。
 病気になったのは、私の母と、40代で亡くなった大叔母だけである。
 ということから、我が家の長寿は、決して長寿遺伝子などではなく、生活習慣からくる後天的なものであろうと私は思った。
 私はその理由を、次のように考えた。
 第一に、我が家は農家であったために、みな死の少なくても1年前まで働いていた。
 第二に、貧乏であったために、肉はほとんど食べたことなく、米のご飯に味噌汁、豆腐、漬物、あるいは時々魚といった穀物と豆類、野菜中心の粗食であった。
 第三に、山で育ったために、もちろん水道があるはずもなく、飲料水は沢水を飲んでいた。沢水はミネラルが豊富であったろう。
 また、働くこと、労働は生きがいを持たせ、筋肉の衰えを遅れさせる。

 食生活で体質が変わった私の体験
 全ての生物は、エネルギーとなる食べものを採らなければ生きて行けない。
 人間だって同じで、穀物や野菜、肉、魚などを食って生きている。
 その食べものでもって私たちの身体がつくられている。
 しかし、肉が好きなひと、魚が好きなひと、甘いものが好きなひと、あるいは酒を飲むひと、飲まないひと、タバコを吸うひと、吸わないひとなど、個人によって食べものや嗜好品が違う。
 食べもので身体がつくられているなら、その食べる内容によって身体、というより体質が変わるはずである。
 極端にいうなら、肉が好きで毎日食べているひとと、たまにしか肉を食べない人では、体質が違って当然である。
 さて、食べものによって体質が変わる。これは、「ミトコンドリアとアンチエイジング」の項でも書いたが、もう一度私の体験をお話しよう。
 私が50歳を過ぎた頃医者から、お前危ないよといわれた。
 どうしてというと、血圧が高いというのである。
 そのときの私の血圧は、140‐100mmHgであった。
 どうすればいいのというと、太りすぎだ。このままだとあたるぞ(脳溢血)というのである。
 よし、痩せるぞ。野菜はカロリーが少ない。野菜で減量しようと、生で食べられる様々な野菜を小さく切って、それにドレッシングをかけて食べる、野菜食中心の食生活を行なった。
 そして1年、体重が7㌔減量し、血圧も正常に戻った。
 それだけではなかった。体質が変わっていることに気がついた。
 一つは、風邪をひかない身体になっていたことである。
 私は子どものころから、冬になると必ずといっていいほど1、2回は風邪をひき、熱のため天井がグルグル廻ることもあった。が、野菜中心の食生活に変えてから約20年間1回も風邪をひいていない。
 二つには、寒さに強い身体になっていたことである。
 私は子どものころから寒がりで、冬になると分厚いメリヤスのシャツとズボン下を欠かしたことがなかった。
 ところが、野菜食をやったその冬になって、私はズボン下と靴下を履いていないのに気がついた。
 靴下は、私は足が汗っかきなので、夏は裸足で靴を履いていた。
 以来今日まで、真冬でも裸足にパンツとジーパン1本の生活をしている。
 ドレッシングには酢が入っており、酢は血管を柔らかくし血行がよくなったこともあろう。
 私は裸足で生活するようになってから、自動車の運転も裸足で行い、アクセルは親指で踏んでいる。
 平成23年(二〇一一)の冬、まてよ、同じ身体なのに下半身だけ寒さに強いというのはおかしい。上半身も同じじゃなかろうかと、上半身も長袖のTシャツ1枚に、上にジャケット1枚を羽織るだけ、つまり上半身も2枚しか着ていない。
 特に平成23年の冬は、十和田市は観測史上第2位の氷点下16・6度までおちた寒い冬であった。それでも上半身は長袖のTシャツ1枚と、ジャケット1枚。下半身はパンツとジーパンだけで過ごした。
 周りのひとは、寒くないのか、身体が冷えるぞ。あるいは風邪をひくぞと心配してくれたが、それでも風邪ひとつひかなかった。

 裸参り、寒中水泳で風邪をひかない

 毎年冬になると、全国で寒中水泳や、神社の裸参りなどが行なわれる。
 青森県でも、弘前市の鬼神社や、藤崎町の常盤地区、五戸町の八幡宮などで行なわれている。
 鬼神社の裸参りは、大きな樽に水と氷が入れられ、その樽に鉢巻と褌1本の男たちが「よっしゃ」の掛け声と共に飛び込む。周りのひとたちはそれにさらに雪を投げ込む。
 この神事のあと、男たちはしめ縄など縁起物を担ぎ、お山参詣登山囃子「サイギサイギ」と声を上げ地区を回る。
 この裸参りは400年もの前の江戸時代から続いているという。
 この400年の間に、裸参りしたひとが風邪をひいて寝込んだり、肺炎になって死んだひとがいなかったから続いてきたのであろう。
 我が家の長寿、私の真冬の薄着、そして裸参り。これには共通点がある。それは、免疫力とミトコンドリア、そして抗酸化力である。

文:小笠原カオル
文:小笠原カオル

監修

監修:川村賢司
監修:川村賢司

プロフィール
昭和15年(1940)青森県野辺地町出身。東京医科大学卒業、元北里大学薬学部准教授、医学博士。退職後は、㈱東京科学技術研究所長などを務める。著書に『もっともらしい健康の常識』など多数。

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