実践的アンチエイジング講座

11、食生活とアンチエイジング ③

[実践的アンチエイジング講座]

 ミトコンドリア
 次ぎに、「食生活で体質が変わった私の体験」と、「裸参り、寒中水泳で風邪をひかない」その理由について書こう。
 この二つに共通するのはミトコンドリアである。
 ミトコンドリアについては、本稿「8、ミトコンドリアとアンチエイジング」の項でもちょっとふれたが、実はミトコンドリアは、老化や、がん、生活習慣病、アルツハイマー病などに深く関係しているらしいということが、最近の研究でわかってきた。
 それではミトコンドリアとは一体なんであろうか。
 簡単にいうと、車が動くとき、エンジンがあり、そのエンジンが酸素(空気)を使ってガソリンを燃やしエネルギーを作り出して車が動く。
 人間を含めた動物の身体でも同じである。
 心臓が動く、頭を使う、働く、走る、運動する、これらのことを行なうためには当然エネルギーが必要である。そのエネルギーを酸素を使って作り出すのがミトコンドリアである。
 つまり、人間(動物)は、酸素を使って糖を燃やし、エネルギー源であるATP(アデノシン三リン酸)をつくる。
 もう少し詳しくミトコンドリアについて見てみよう。
 私たち人間は約60兆個の細胞でつくられている。その細胞の全てにミトコンドリアが入っており、一つの細胞の中に100個から3000個のミトコンドリアが入っている。その総量は体重の約1割といわれている。
 なぜ、細胞の中に入っているミトコンドリアの数が100~3000個と、細胞によって30倍もの違いがあるのであろうか。
 理由は簡単である。心臓筋細胞や神経細胞、骨格筋細胞など、エネルギーを多く使う細胞には、それだけエネルギーを必要とするからミトコンドリアが多いということになる。
 実はもう一つ、個々人によってもミトコンドリアが活発に働くひとと、あまり働かないひとがある。
 たとえばスポーツをするひと。当然に多くのエネルギーが必要になる。そうすると、骨格筋細胞の中にあるミトコンドリアが一生懸命に働いてエネルギーを作り出してくれる。スポーツマンがエネルギッシュに見えるのはそのためである。
 それはスポーツだけではない。たとえばiPS細胞をつくった山中伸弥教授や、宇宙研「はやぶさ」プロジェクトマネージャの川口淳一郎教授のような学者も、スポーツとは違うがエネルギッシュで、しかも若々しい。
 それは、神経細胞を使うときも大量のエネルギーを必要とするから、ミトコンドリアは一生懸命にエネルギーを作り出してくれる。
 たとえば、小沢一郎のように、彼はもう70歳を過ぎているが、叩かれても叩かれても不死鳥のように蘇ってくる政治家。あるいは園田博之(81歳)、山東昭子(80歳)、石原慎太郎(80歳)、亀井静香(76歳)、伊吹文明(75歳)ら、後期高齢者の政治家は、必要とあらば、雨が降ろうが、雪が降ろうが、街頭に立って演説をする。
 この年代になると介護されているひとも多いであろう。それに比べるとまことにエネルギッシュで、この年齢にしては若々しい。
 これもミトコンドリアの成せる技である。
 では、「食生活で体質が変わった私の体験」及び「寒中水泳、裸参りで風邪をひかない」と、ミトコンドリアがどう関係があるのか。
 私が、アンチエイジングに興味をもった一つは、50歳代のころ、医者からお前危ないよといわれ、どうしてというと、血圧が高い。どうすればいいのというと、太りすぎだといわれ、それじゃ痩せようということで、1年間野菜中心の食生活を行なった。そして1年経ったら寒さをあまり感じない、寒さに強い身体になっていたと前に書いた。
 何故、野菜を中心とした食生活をした私が、寒さに強い身体になったのか。それが知りたくて、健康に関する様々な本を読んだ。そしてたどり着ついたのがミトコンドリアである。
 大田成男著『体が若くなる技術‐ミトコンドリアを増やして健康になる』(サンマーク出版刊)には、こんなことが書いてあった。
 ミトコンドリアを働かせる、あるいは増やすにはどうすればいいのか、ひとことでいうなら、「体にエネルギーを必要としていることをわからせる」ことである。
 そのためには、
 ①「マグロトレーニング」  をする。
 ②背すじをのばすこと。
 ③寒さを感じること。
 ④空腹になること。
と書いてあった。「マグロトレーニング」とは運動のことである。
 これだと思った。私は、体重を落とすためにある程度運動をしていたし、野菜を中心とした生活であったからすぐ腹がへる。もちろん間食をすると減量できないから常に空腹を感じていた。その結果、私の身体はミトコンドリアが活発に働く身体になっていた。そして冬になり寒くなったとき、ミトコンドリアが、寒いぞこれは身体の一大事とばかりにエネルギーをたくさん作り身体を内部から温めてくれたのである。
 これは寒中水泳にしても同じである。
 これから冷たい水に入るぞと心を引き締める。するとミトコンドリアが、冷たい水に入るぞと、それエネルギーを作れと、身体を内部から温めてくれる。だから風邪をひかない。
 ミトコンドリアは、細胞が飢餓状態になると働くようになっている。それはどういうことかというと、たとえば運動することによって大量のエネルギーが使われる。そうすると細胞にエネルギーが足りなくなる。つまり細胞が飢餓状態になる。そこでミトコンドリアが、そりゃ大変だと、働いてエネルギーを補給してくれるというわけである。
 サルなどの実験で、カロリーを制限したら寿命が延びたという実験が紹介されている。つまりミトコンドリアの活動が活発になったからである。
 ミトコンドリアが活発に活動する身体をつくることが、アンチエイジングにもつながるのである。
 ミトコンドリアが活発に活動する身体は、自分の意思でつくることが出来る。
 一方、逆にミトコンドリアの機能が低下すると、精神症状、筋力低下のみならず、心筋症、肝不全、糖尿病など、様々な病気が発生する確率が高くなる。
 ミトコンドリアは、アンチエイジングのみならず、私たちが生きるための非常に重要な器官である。


 

文:小笠原カオル
文:小笠原カオル

監修

監修:川村賢司
監修:川村賢司

プロフィール
昭和15年(1940)青森県野辺地町出身。東京医科大学卒業、元北里大学薬学部准教授、医学博士。退職後は、㈱東京科学技術研究所長などを務める。著書に『もっともらしい健康の常識』など多数。

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