実践的アンチエイジング講座

11、食生活とアンチエイジング ④

[実践的アンチエイジング講座]

 活性酸素
 最近は、天草テレビの看板アナウンサー森シノさん(109歳)や、油絵、旅行、詩吟、百人一首など意欲的に毎日を楽しみ、第11回ニューエルダーシチズン大賞を受賞(平成23年)した後藤はつのさん(109歳)、聖路加病院理事長の日野原重明さん(101歳) 、100歳の現役サラリーマン福井福太郎さんなど、100歳を超えなお、健康で元気に活躍している人も珍しくなくなった。
 また、75歳で芥川賞を受賞した黒田夏子さんや、90歳で椋鳩十賞(児童文学)を受賞した石井和代さんなど、高齢になってから才能を開花させている人も出てきている。
 男女とも世界一の長寿者は日本人で、男性は京都府丹後市の木村次郎右衛門さんで116歳(平成25年4月現在)である。木村さんは明治30年(一八九七)、青森県はまだランプの生活をしていた、明治維新からわずか30年した経っていない時代に生まれている。
 木村さんは、男女合わせた世界一の長寿者である。
 女性の世界一の長寿者は大阪市の大川ミサヲさんで115歳(平成25年4月現在)である。大川さんは木村さんより1年遅い明治31年(一八九八)に生まれている。
 木村さんも大川さんも、19世紀の終わりに生まれ、20世紀をまるまる生き、21世紀の現在なお健在である。19、20、21世紀と、3世紀にまたがって生きているからすごい。お二人とも大変元気だが、人間は120歳をなかなか超えることができない。
 人間は、歳とともに老い、やがて死を迎える。あるいは途中で病気になり亡くなる場合もある。
 なぜ歳とともに老いるのか。なぜ病気になるのか。それらに大きく関わっているのが活性酸素である。
 活性酸素とはなんであろうか。活力ある酸素??ではない。
 「免疫力と抗酸化力」の項でもちょっとふれたが、
比喩的にいうと、車は酸素(空気)を使ってガソリンを燃やしエネルギーをつくり動く。その時、ガソリンを燃やした排ガス、つまり二酸化炭素や窒素酸化物、ちり、けむりなどが出る。この排ガスにあたるのが活性酸素である。
 車の排ガスは、工場などから出る排煙などと相まって、 今、中国で大きな問題になっているように、大気を汚すなど大変な悪さをする。
 人間の場合はどうであろうか。
 「ミトコンドリア」の項で話したように、人間は生きてゆくために酸素を吸い、ミトコンドリアがその酸素を使い糖を燃やし、それをエネルギーに変える。そのとき出るいわゆる排ガスが活性酸素である。車の排ガスは、それが多く出ると地球環境や人間に大変な悪さをする。
 やはり人間の身体も同じで、その活性酸素が細胞を傷つけるなど人間の身体に悪さをするのである。
 人間の身体をつくっている60兆個の細胞は常に新陳代謝を繰り返している。その新陳代謝のときに活性酸素が悪さをし、細胞傷つけ、あるいは異常細胞をつくる。
 顔のシワやシミ、白内障、関節炎、認知症などの老化現象はもちろんのこと、動脈硬化、心臓病、脳卒中、糖尿病などの生活習慣病、異常細胞であるがんなどがそれである。
 新陳代謝が繰り返されるたびに活性酸素に傷つけられる。もう新陳代謝ができない、その限界が120歳というわけである。
 ところが、その活性酸素を抑制ないし無毒化する物質がある。それが、ビタミンAやビタミンB2、ビタミンC、ビタミンEなどのビタミン類。ポリフェノール、カテキン、リコピンなどの抗酸化物質である。
 これら抗酸化物質は、野菜などに多く含まれている。野菜をとることが大事なのは植物繊維だけではない。むしろ抗酸化物質をたくさん含んでいるからである。
 たとえば、ブルーベリーにはアントシアニン、そばにはルチン、お茶にはカテキン、大豆にはイソフラボン、ゴマにはゴマリクナン、緑黄野菜やキノコ類にはβカロチン、トマトにはリコピンといった具合である。
 それらの作用は、イソフラボンは女性ホルモンのような作用をするとか、ルチンは毛細血管を強化するなど、それぞれ役割が違うが、いずれも抗酸化物質であり、その多くは野菜や果物などに含まれている。
 また、活性酸素を抑制するビタミン類では、ビタミンAはのり類、わかめ、しその葉、パセリ、人参、小松菜やほうれん草などの青菜類、かぼちゃなどに含まれている。ビタミンB2は、うなぎ、レバー、のり類、たらこ、すじこ、たまご、青菜類、納豆など。ビタミンCは、キャベツ、ピーマン、ブロッコリー、パセリ、トマト、青菜類、柑橘類など。ビタミンEは、種実類などに含まれている。
 冒頭に紹介した百寿者の多くは、食生活が抗酸化物質が多く含まれている野菜や魚が中心だった明治、大正、昭和の前期を生きてきたひとたちである。
 もちろん、漂白剤や防腐剤、合成甘味料、防カビ剤、発色剤など、食品添加物の入った加工食品を食べてこなかった人たちである。
 食品添加物はどんなに微量でも、あるいはそれが法的に認められたものであっても、それを長年食べ続けていると身体に蓄積し、身体に悪い影響、つまり、アトピーやアレルギー疾患、あるいはがんなどリスクが高くなる。なぜならそれが身体にとっては不必要な異物であるからである。
 活性酸素は人間の身体にとって100㌫悪者かというとそうでもない。体内に入ってきた細菌などを撃退する免疫システムにも重要な役割を果たしている。だから人間の身体には、悪者である活性酸素も必要である。
 野菜、果物、種実などに入っている抗酸化物質は微量でしかない。だから継続して食べることが大事である。
 私の周りにも野菜が嫌いだというひともいる。今はいい。70歳、80歳、あるいは90歳、100歳になったときに、野菜をたくさん食べたひとと、そうでないひとの差が出てくるはずである。
 アンチエイジングにとって大事なことは、活性酸素を抑制する抗酸化物質が入っている、野菜や果物、種実をたくさん食べることである。


 

文:小笠原カオル
文:小笠原カオル

監修

監修:川村賢司
監修:川村賢司

プロフィール
昭和15年(1940)青森県野辺地町出身。東京医科大学卒業、元北里大学薬学部准教授、医学博士。退職後は、㈱東京科学技術研究所長などを務める。著書に『もっともらしい健康の常識』など多数。

最近の写真

※写真をクリックすると記事にアクセスできます。

  • http://bunka-sinbun.jp/news-article/2012/07/10-1.html
  • http://bunka-sinbun.jp/news-article/2012/04/post-312.html
  • http://bunka-sinbun.jp/news-article/2012/04/post-307.html
  • http://bunka-sinbun.jp/news-article/2011/12/post-205.html
  • http://bunka-sinbun.jp/news-article/2011/12/post-184.html
  • http://bunka-sinbun.jp/news-article/2011/09/post-149.html
  • http://bunka-sinbun.jp/news-article/2011/08/post-86.html
  • http://bunka-sinbun.jp/news-article/2011/07/6.html