実践的アンチエイジング講座

11、食生活とアンチエイジング ⑤

[実践的アンチエイジング講座]

 食事でがんが治るって本当?
 最近、本屋に行くと、様々な健康に関する本の中に、『がんを治す食事療法』帯津良一・上野圭一著(法研刊)や、『「ガンが食事で治る」という事実』済陽高保vs星野仁彦著(マキノ出版刊)などの本が並んでいる。
 がんが食事で治る?って本当だろうか。私は医者でないのではっきりしたことは分からない。
 が、これだけは言える。我が家は農家であったこともあり粗食、あるいは野菜を中心とした食生活をしてきた。その我が家は曽祖父から私までの四代の中で、がんで亡くなったひとは52歳で乳がんで亡くなった大叔母一人だけ。乳がんを患ったのは、完治したが私の母一人だけであった。
 大叔母は子供ができなかった。母は、戦時中の子供に飲ませる乳も出ないほどの食料不足の苦しい体験から、食べるのが何より楽しみなひとであった。そのために我が家では唯一太っていた。
 出産未経験者や肥満のひとは乳がんになる確立が高いといわれている。
 食生活を変えることによってがんが治るかどうかはわからないが、かなり高い確率でがんにならない身体をつくることが出来るということはいえる。
 人間の身体は、自然食品の他、加工食品に入っている防腐剤や着色剤など食品添加物を含めて、すべて口から入った食べたもので作られている。その食べた物によってかかる病気の中身も違ってくる。
 たとえば、日本人の食生活の変化では、昭和25年(一九五〇)ころから肉の消費量が徐々に増え、特に経済高度成長期に入った昭和35年(一九六〇)以降大幅に増えている。
 牛乳・乳製品に至っては、昭和35年からグラフにすると45度ぐらいの急勾配で増えている。
 一方、主要死因別死亡率を見ると、昭和24年(一九四九)を基点に、悪性新生物、つまりがんが30度ぐらいの急勾配で増えている。
 統計で見る限り、肉や牛乳・乳製品の消費量と、がんによる死亡率が比例していることがわかる。
 と同時に、矛盾しているようであるが、肉や牛乳・乳製品の消費量と比例して、日本人の平均寿命が延び、今や世界一の長寿国となっている。
 それは、医学の発達や国民皆保険などの医療制度の充実、あるいは国民の健康に対する意識の向上なども影響しているであろう。
 が、いずれにしても肉や牛乳・乳製品の消費量と、がんによる死亡率の増加が比例していることはまぎれもない事実である。
 さて、話を本題に戻そう。食事でがんは治るかである。
 旧十和田湖町の名刹浄円寺の馬場紀昭住職が、平成21年(二〇〇九)にすい臓に腫瘍があるようだと十和田市の病院で診断された。一瞬がんではないかとの不安がよぎった。馬場さん69歳のときであった。
 馬場さんのそれまでの生活は、身体の丈夫なのが自慢で、タバコは1日3箱、しょっぱいものが好きで、酒は毎日飲み、時には昼食を食べないで飲むこともあった。そんな生活が69歳まで続いた。
 一般的にいうなら、病気になって当たり前の生活であった。
 すい臓がんは発生率は少ないものの、生存率は5年でわずか約10~20㌫と非常に低い。それは、すい臓は身体の後ろ側にあるために、がんが見つかったときはもう手遅れだったという場合が多い。
 心配した子供たちは、東京にすい臓がん専門のいい病院があるから、そこで詳しく検査してもらった方がいいと薦めた。
 早速、東京の病院に行って超音波で検査すると、腫瘍どころか悪性で、すでにリンパまで転移していることがわかった。
 がんがリンパまで転移している。がん細胞が全身に流れてしまっている可能性がある。
 こうして、平成22年(二〇一〇)2月にすい臓を全摘し手術は成功、一ヵ月余りで無事退院した。
 問題はここからである。つまり再発を防ぐために抗がん剤以外の方法を行なうか否かである。
 子供たちは、『今あるガンが消えていく食事』済陽高穂著(マキノ出版刊)をもってきて、食事療法を薦めた。
 実は、馬場さんの奥さんの兄が平成7年(一九九五)前立腺がんになり、余命半年と診断された。義兄53歳のときであった。
 義兄は、「よしッ!!がんは自分で治す」と、病院に行かず、翌日から玄米食を中心とした食生活にがらりと変えた。それから18年、余命半年といわれたのが今だにピンピンと元気である。
 そのことを知っていた馬場さんは、半年間の抗がん剤治療と共に、食事療法を始めた。
 「食事でがんが治るってそんなの全く信じていませんでした。義兄が実際に食事療法でがんを治していますから、義兄がいなければ食事療法を選んでいなかったでしょう」と馬場さんは語る。
 馬場さんが退院すると、娘さんが『今あるガンが消えていく食事』を参考にメニューをつくり、それを基に奥さんが料理をつくった。
 がんが治る料理の基本は、肉類は一切食べない。酸化した悪い油は使わない。塩分をできるだけ少なくする。そして玄米食である。
 こうして、退院して3ヵ月目で、体力づくりのためにゴルフを再開した。今は、ゴルフもホールインワンするほど上達している。
 今のところ、がんの再発の気配はない。
 ここで紹介した二人は、一人は食事療法でもってがんを閉じ込めてしまった。一人はやはり食事療法でもってがんの再発を防いでいる。
 私は医者でないので、がんが本当に食事療法で治るのかどうかわからないが、最初に紹介した『「ガンが食事で治る」という事実』(済陽高保vs星野仁彦著)には、がんが食事療法で治るその理由と、事例が紹介されている。
 著者である済陽高保さんは、三愛病院医学研究所所長・西台クリニック院長。星野仁彦さんは福島学院大学福祉心理学部教授で、二人とも医師である。
 済陽さんは、消化器外科医で、自分が執刀したがん患者2000人を追跡調査したところ、5年後の生存率が52㌫しかなかったことに衝撃を受け、「済陽式ガン食事療法」を開発した。
 星野さんは、精神科医であるが、42歳のとき進行性の大腸がんがみつかり、5年後の生存率が〇といわれた。それを何とか治そうと研究。「星野式ゲルン療法」を開発。それから24年経った現在、再発もせずピンピンしている。
 100㌫でないにしても、野菜を中心とした食生活に変えることによって、がんは治るというのは事実のようである。

 

文:小笠原カオル
文:小笠原カオル

監修

監修:川村賢司
監修:川村賢司

プロフィール
昭和15年(1940)青森県野辺地町出身。東京医科大学卒業、元北里大学薬学部准教授、医学博士。退職後は、㈱東京科学技術研究所長などを務める。著書に『もっともらしい健康の常識』など多数。

最近の写真

※写真をクリックすると記事にアクセスできます。

  • http://bunka-sinbun.jp/news-article/2012/07/10-1.html
  • http://bunka-sinbun.jp/news-article/2012/04/post-312.html
  • http://bunka-sinbun.jp/news-article/2012/04/post-307.html
  • http://bunka-sinbun.jp/news-article/2011/12/post-205.html
  • http://bunka-sinbun.jp/news-article/2011/12/post-184.html
  • http://bunka-sinbun.jp/news-article/2011/09/post-149.html
  • http://bunka-sinbun.jp/news-article/2011/08/post-86.html
  • http://bunka-sinbun.jp/news-article/2011/07/6.html