実践的アンチエイジング講座

11、食生活とアンチエイジング ⑥

[実践的アンチエイジング講座]

 草食動物と肉食動物(上)
 哺乳動物には、草食動物と肉食動物、そして雑食動物がいる。
 この草食動物と肉食動物、雑食動物を比較してみるとアンチエイジングにとって面白いことが見えてくる。
 草食動物とは、草や木の葉など低タンパクで繊維質が多く、消化の悪い植物を食料としている動物をいう。
 肉食動物とは、主には草食動物を襲い殺して食べる動物をいう。
 雑食動物とは、その名の通り、動物や昆虫、魚、草や木の葉、果実などを食べる動物をいう。
 草食動物は、ゾウやカバ、キリン、ウマ、ウシ、シカなどがそうである。
 肉食動物は、日本では少ないが、トラやライオン、チーター、ハイエナなどである。
 雑食動物は、クマ、チンパンジー、タヌキ、テン、そして人間である。
 最初に、草食動物と肉食動物、雑食動物の大きさを比較してみよう。大きさといっても、足の長い動物や短い動物、あるいは首の長い動物など様々であるためにここでは体重で比較する。
 草食動物であるゾウは、アフリカゾウで体重5・8㌧~7・5㌧、アジアゾウはちょっと小さく4㌧~5㌧である。それにしても大きい。地上最大の動物である。
 以下、カバ1・2㌧~2・6㌧でゾウに次ぐ大きさである。キリン800㌔~1・2㌧、ウマ100㌔~1㌧、ウシ300㌔~700㌔、シカ50㌔~130㌔である。
 草食動物は、低タンパクな草や木の葉などを食べているにもかかわらず、総じて身体が大きく骨も太い。
 肉食動物で一番大きいのはトラで250㌔~300㌔。百獣の王といわれる肉食動物の代表であるライオンは150㌔~250㌔。チーター40㌔~65㌔、ハイエナ45㌔~70㌔である。
 肉食動物は、消化、吸収の良い、主には草食動物を食っている割には、草食動物に比べるとずいぶん小さい。
 雑食動物では、クマは300㌔~1㌧、チンパンジー40㌔~60㌔、タヌキ3㌔~10㌔である。そして人間は40㌔~100㌔ぐらいであろうか。
 これら動物の体重は、ウマではポニーからペルシュロンのような大型馬までたくさんの種類があるように、ここで標記した体重はそれらを網羅した凡その体重である。
 次に、草食動物と肉食動物、雑食動物の寿命を比較してみよう。
 草食動物では、ゾウは約70年で人間に近い寿命である。カバは約45年、キリン10年~15年、ウマ約25年、ウシ約20年、シカ15年~20年である。
 これらは凡その寿命で、野生の場合1頭1頭の寿命を調査するのが難しい。したがって野生動物と、動物園で飼育している場合の寿命は当然違ってくる。
 肉食動物の寿命は、トラは15年~20年、ライオン約20年、チーター6年~10年、ハイエナ25年~35年である。
 肉食動物の場合も野生で調べるのが難しいために、したがってこれは動物園で飼われたときの寿命である。動物園で飼うと餌を捕獲する必要がないので寿命が大幅に伸びる。
 雑食動物では、クマは25年~30年、チンパンジー40年~50年、タヌキ10年前後、そして人間は約80年である。
 草食動物、肉食動物、雑食動物、様々な比較の方法はあるだろうが、体重と寿命を比較してみた場合、体重は、その多くは肉食動物や雑食動物より草食動物の方が、はるかに大きく重い。そして寿命も長い。
 何故であろうか。
 まず体重であるが、草食動物は、草や木の葉は消化悪い。と同時にタンパク質が少ないために大量の餌を食べなければならない。
 草や木の葉は消化に時間がかかり、そのために長い腸が必要である。そして多く食べるために大きな胃が必要になってくる。
 たとえば、牛の第1胃は120~200㍑、ドラム缶1本分ぐらいの容量があり、腸の長さは50~60㍍もあるという。その大きな胃と長い腸を収納するために自然と身体が大きくなったとされている。
 それでも消化できないために、腸内に微生物を生息させ微生物の力を借りて消化させている。
 また草食動物は盲腸が発達しており、盲腸にはセルロースという、草の繊維を分解させるための細菌を共生させているために、草を食べても身体をつくることができる。が、人間の盲腸は進化の過程で退化し、草だけでは身体をつくることはできない。
 それに比べて肉食は、消化吸収が良いので消化器官が単純に出来ているというのである。
 また、草や木の葉は無限にあり草食動物は食べるのに苦労しないが、肉食動物は、草食動物を襲い食べるために、常に機敏に動ける身体でなければならない。そのために身体を大きくすることができないというのである。
 なるほど、草食動物と肉食動物、身体の大きさの違いはこの説明でわかる。
 が、それではなぜ草食動物は寿命が長いのであろうか。残念ながら、その研究なり記述を見つけることが出来なかった。
 私はこう考える。「活性酸素」の項でも書いたが、動物の身体は常に新陳代謝を繰り返している。その新陳代謝を阻害し、細胞を傷つけるのが活性酸素である。そしてその活性酸素を抑制するのがビタミン類などの抗酸化物質である。
 草食動物が食べる草や木の葉には抗酸化物質であるビタミン類などがたくさん含まれている。
 一方、肉食は抗酸化物質が非常に少ない。そのために草食動物を捕獲し、草食動物の体内に蓄積された栄養素を二次利用するという形で、ビタミン類など不足な成分を吸収している。ライオンやチーターは草食動物を捕まえると、まず内臓から食うという。が、草食動物に比べて抗酸化物質の吸収は微々たるものである。したがって、新陳代謝時の活性酸素の影響を受けやすい。結果寿命が短いということになる。
 そして三つ目は体力の比較である。
 アフリカのサバンナの映像をみたことがある。不思議なことに、肉食動物であるライオンやチーターのそう遠くない場所に、シマウマやトムソンガセルなどがのんびりと草を食んでいる。
 ときおりライオンがシマウマを襲うことがある。それに気付いたシマウマが逃げる。ライオンが追うが追いつけず、すぐあきらめる。
 ここでわかることは、肉食動物であるライオンは瞬発力が強いが持続力が弱いということである。
 逆にシマウマは、力は弱いが走る持続力が長い。その走る持続力は肉食動物から身を守るために備えられた能力である。
 馬の走る能力を極限まで高めたのが競馬であろう。

 

文:小笠原カオル
文:小笠原カオル

監修

監修:川村賢司
監修:川村賢司

プロフィール
昭和15年(1940)青森県野辺地町出身。東京医科大学卒業、元北里大学薬学部准教授、医学博士。退職後は、㈱東京科学技術研究所長などを務める。著書に『もっともらしい健康の常識』など多数。

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