編集長のたわごと

『戦争のつくりかた』が現実味

[編集長のたわごと]
 私は毎年100本前後の映画を観ている。最近気になる映画が何本かあった。一つは『ヒトラー暗殺、13分の誤算』である。ヒトラーが国民に熱狂的に支持され独裁者になりつつある時期に、ヒトラーの危険性に気づいた時計職人がたった一人でヒトラーの暗殺を企てた実話である。だが、ヒトラーは13分早く演説を切り上げたために暗殺を免れた。このときヒトラーが暗殺されていればアウシュヴィッツのような悲劇が生まれていなかったかも知れない。
 2つには、これと対をなすような作品だが『サウルの息子』である。アウシュヴィッツでユダヤ人をガス室送り込み、その死体を処理する仕事をするサウルが、その死体の中に自分の息子を見つける。他のユダヤ人たちが焼かれてしまう中で息子をちゃんと埋葬してやりたいとナチスの目をくぐり、自分もガス室に送られる立場だが人間の尊厳をかけて最後の力を振り絞る。が、ここには明るい未来が見えない。
 3つには『禁じられた歌声』である。西アフリカのマリ共和国に両親と幸せに暮らす少女トヤ。しかし町はイスラム過激派に支配され、歌うことも禁止され、最後は両親とも殺されてしまう。これは現在進行形の物語でもある。
 どんな場合でも戦争は人間を幸せにはしない。『戦争のつくりかた』という絵本がある。これは平成16年(二〇〇四)に出された本だが、安倍内閣によってそれが現実味を増してきた。