夢追人ニュース

芥川賞2回連続候補十和田市出身の高橋弘希さん

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今年の十和田市民大学講師に

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 昭和10年(一九三五)、第1回芥川賞の選考委員会で予選候補になったものの選ばれなかった太宰治が、選考委員の一人であった佐藤春夫に、次は自分を選んでくれるようにと長文の手紙を出した話は有名である。
 青森県から芥川賞の受賞者は『忍ぶ川』で受賞した三浦哲郎ただ一人だけである。
 その芥川賞に受賞はしなかったものの、第152回で『指の骨』が、第153回で『朝顔の日』がと2回連続で候補になったのが十和田市出身の高橋弘希さんである。
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 高橋さんの作品はどう評価されたのであろうか。断片的ではあるが、選者のコメントの一部を紹介しよう。『指の骨』で小川洋子さんは、
「『指の骨』で、例えば薬棚の描写や、巨大なタコの樹を見上げる場面を、私はうっとりしながら読んだ。思い浮かぶイメージのどこに焦点を絞るか、高橋さんは的確に判断し、簡潔な言葉でそれを救い上げている...」
 同じく奥泉光さんは、
「アジア太平洋戦争中の、ニューギニアの戦地にあった日本兵を描いた高橋弘希氏の『指の骨』は力作であり、作者の力量は十分に感じられた。...戦争を体験せぬ世代である我々は...作家の『いま』への問いかけがなければならない...」
 宮本輝さんは、
「私は高橋弘希さんの『指の骨』を推した。...とりわけ最後の数行が、私をこの主人公の心情に同化させた。文章の力だと思う。その描写力や構造には非凡なものを感じ、高橋氏の才能を認めて受賞作に押した...」
 島田雅彦さんは、
「『指の骨』は骨太な読み応えのある戦記に仕上がっている。戦争経験のない者は他者の戦争経験に学ぶしかないのだが、『戦場にいる自分』の創造の仕方は見事である」
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 『朝顔の日』では、
 選者の山田詠美さんは、
「『朝顔の日』。病室の白い壁が、さまざまな色で、時に淡く時に鮮烈に染め上げられて行くかのよう。この作者は、死と隣り合わせの静謐を美しく描く印象派...」
 などと、その創造力や文章力、描写力を高く評価している。あとはテーマであろう。芥川賞にもっとも近いところにいる作家の一人である。
 高橋弘希。父は黒石市、母は十和田市出身。昭和54年(一九七九)十和田市で生まれた。とはいっても、お母さんが十和田市出身であったことから出産のために帰郷して弘希さんを出産して半年くらい十和田市に居たということである。が、弘希さんは夏に毎年母の実家に帰り夏休み中十和田市で過ごしていたから、弘希さんにとってはやはりふるさとは十和田市である。
 その高橋弘さんが平成28年度の十和田市民大学にやってくる。