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奥入瀬渓流を通りすがる観光から立ちどまる観光に変え 2016日本エコツーリズム大賞特別賞を受賞したNPO法人奥入瀬自然研究会

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↓エコツーリズム大賞特別賞受賞記念フォーラムで挨拶する河井大輔理事長
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大自然の中をハイヒールで歩けるところは奥入瀬渓流しかない
 平成25年(二〇一三)に奥入瀬渓流が日本蘚苔類学会の19番目の「日本の貴重なコケの森」に認定された。その奥入瀬渓流の魅力を、NPO法人奥入瀬自然観光資源研究会(通称おいけん=以下おいけん)の河井大輔理事長は、「なにより魅力的なのはこんな大自然の中を、極端にいうならハイヒールを履いても歩けるのである。この奥入瀬渓流の深い緑をつくっているのは実はコケである。川の中の石を見ても、崖の岩を見ても、古木の根元を見てもコケがびっしり生えている」と語っていた(本紙平成26年第368号)。
 奥入瀬渓流のコケについては、大町桂月が、大正11年(一九二二)に発表した『山は富士、湖は十和田』の中で「焼山まで三里の間、川中に大小の巌石おほくして、その幾百千なるを知らず。しかして巌石ごとに必ず苔若しくは樹木をおぶ。これは奥入瀬川の特色にして天下にその比を見ず」と書いている。しかし、以後の人々はそのコケにふれることなく、奥入瀬渓流の観光は通りすがるだけの観光になっていた。
 北海道でアウトドア関係の雑誌の編集に携わり、且つ全国の自然を探索し歩いていた河井さんだからこそ、大町桂月の指摘に気づいたのであった。
奥入瀬渓流エコツーリズムプロジェクト実行委員会設立
 河井大輔さんは、平成19年(二〇〇七)に奥入瀬渓流に魅了され十和田市に移住。平成20年(二〇〇八)に当時の㈱ノースビレッジに入社した。そして奥入瀬渓流のコケ(蘚苔類)に注目し、元日本蘚苔類学会会長の神田啓史さんや、蘚苔類を研究していた八戸工大の鮎川恵理さんなど専門家を招き勉強会を行うと共に学術調査を行った。
 その結果、奥入瀬渓流には300種以上の蘚苔類が生息していることがわかった。 こうして平成25年に、奥入瀬渓流が日本蘚苔類学会の「日本の貴重なコケの森」に認定され、翌平成26年(二〇一四)にNPO法人奥入瀬自然観光資源研究会を設立。奥入瀬渓流はこれまでの通りすがる観光から立ちどまる観光に大きく変わった。
調査研究と本の出版
 おいけんは、奥入瀬渓流を調査研究すると共に、平成26年に『奥入瀬渓流コケハンドブック』を、同28年(二〇一六)に『奥入瀬自然誌博物館』を、そしてこのほど『奥入瀬フィールドミュージアムガイドブック』をと、その研究成果をまとめた本を出版した。『奥入瀬フィールドミュージアムガイドブック』は、奥入瀬渓流を「天然の野外博物館」と見立てて、奥入瀬渓流の滝や、7つの特徴と自然観賞のおすすめコースの案内、散策にあたっての準備などをカラーの絵図で示すと共に、奥入瀬渓流を、下流域、中流域、上流域に分け、その見どころ、奥入瀬渓流の魅力を写真と絵図で示している。この一冊があれば、奥入瀬渓流の樹木や草花、昆虫から野鳥、魚まで、よくこれほど詳しく調べたなと思うほど、奥入瀬渓流のことならすべて分かるように構成されている。
そして日本エコツーリズム大賞特別賞を受賞
 日本エコツーリズム大賞は環境省が主催するもので、おいけんを立ち上げてからわずか3年で受賞したことになる。これだけ短期間の活動で受賞したのは初めてで、それだけその活動内容が深いものであったことが伺われる。
 5月14日に行われた、受賞記念フォーラムでは、川村祐一事務局長が「日本エコツーリズム大賞受賞報告」を、河井大輔理事長が「2016奥入瀬自然観光資源調査結果報告」を行うと共に、観光カリスマの山田桂一郎さんが「これからの奥入瀬エコツーリズム」と題して記念講演を行った。
 おいけんの活動は、活動対照に学術のメスを入れると共にそれを観光につなげるなど類似する団体の今後の活動の指標となるものである。
 おいけんへの問い合わせは、0176‐23‐5866迄。
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奥入瀬渓流の歩道橋でコケを観察するコケガール(おい研映像より)
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このほど出版された奥入瀬渓流3冊目の本『奥入瀬フィールドミュージアムガイドブック』