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『コケの三大聖地』としての可能性 環境と観光を考えるモスツーリズム

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 NPO法人奥入瀬自然観光資源研究会(通称・おいけん)がコケを活用したブランディングに取り組み、コケの三大聖地と呼ばれる奥入瀬・北八ヶ岳・屋久島の事例発表を含めたシンポジウム『モス・ツーリズムシンポジウム2018』を開催。
 開会の挨拶ではおいけん理事長・河井大輔氏が「コケの三大聖地には3つの共通点がある。観光地でありながら国指定の自然保護区になっていること。民間が一般向けの観光案内をしていること。地域のコケが自然の根幹を作っていること。コケを見る旅にどのような可能性があるか考えて欲しい」と挨拶した。
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 小山田市長は「緑が深くなってきた十和田市でシンポジウムの開催と県外からの参加が嬉しい。第一人者の発表をブランド強化にもつなげたい。現在はコケ散歩も注目されている。古くから馴染みのあるコケを理解し環境保全も考えたい。」と挨拶した。
 第1部は事例報告。始めに鹿児島県の屋久島から参加した「YNAC、屋久島野外活動総合センター・小原比呂志氏」が発表。屋久島のコケは暖められた海流が打ち上げられ、霧や雲に覆われた環境があり、自然のコケ玉が多くある。幻のコケも発見され、山のイメージから苔の森のイメージへとなった。ジブリ映画の「もののけ姫」のモデルともなり、登山ではなく、森を見るための入山者が増えてきた。エコツーリズムは自然観光のPRだけではなく、入山者が何を学べるかを伝えることも必要だと語った。
 次に長野県の北八ヶ岳から参加した「北八ヶ岳苔の会事務局・遠藤降也氏」が始めに発見された485種類(現在は519種)のコケのPR動画を見てもらい発表。朝しか見れない胞子体の姿を観察できる観察会や宿泊ツアーを企画したり、コケのゆるキャラを作ったりしている。森開きでは小学生を対象としたイベントなども企画、子どもの頃からコケを知ることが大事だと語った。
 最後においけん副理事長の丹羽裕之氏が発表。火山から生まれた十和田湖。それが決壊し作られた渓流。長い年月を掛け、岩だらけの谷がコケだらけの森となり、コケを通して広がった自然景観が奥入瀬渓流。デザインを見る・ストーリーを知る・観るというスタイルの変化が天然の自然博物館(フィールドミュージアム)を面白くさせる。奥入瀬渓流ホテルでの森の学校やルーペの貸し出しやガイドブック作成など流し見る観光から滞在型へすすめていく事が地域の活性化にもつながると語った。また、どの地域でも言えるのが環境と観光の共存。環境保全と盗掘などの問題、観光客の安全と自然景観の問題など、解決しなくてはならないテーマも様々あると伝えた。
 第2部はコーディネーターとしてあおもり観光デザイン会議メンバー・佐藤大介氏を招いて「コケを通して自然を観るツーリズムの可能性」をテーマに開催。パネラーは講師を務めた小原氏と遠藤氏、おいけんの玉川えみ那さん、十和田市観光商工部長・本宿貴一氏を迎えてパネルディスカッションを行った。
 「観光スポットを見て回る事に苔の散策を足すと一日では全然足りない。そこに宿泊というプランを付け足したい。」「外国人観光客も増え、観光客を育成する事も必要だと思った。地域ルールを作って当たり前のマナーを浸透させたい。」「観光客は増やしたいが安全管理や環境保全に気を付けなければならない。」「地元の人の方が地域のことを知らない事も感じた。コケを通した楽しみ方を伝えたい。」など多くの意見が交わされ、コケの三大聖地としてのこれからの在り方を考えた。
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